約70年間雨曝しで使用された古材の樹種が,タイワンヒノキ(Chamaecyparis obtusa var. formosana)とヒノキ(C. obtusa)のいずれであるか判別を試みた。顕微鏡組織観察,揮発性成分のGC/MS分析,ヒノキチオール-鉄錯体の呈色反応および薄層クロマトグラフィー(TLC)を行った。その結果,ジクロロメタン抽出液のTLCにおいて,タイワンヒノキとヒノキは明確に識別され,古材はタイワンヒノキと同定された。よって,長期間雨曝しにされたタイワンヒノキの同定には,TLCフィンガープリント分析法のみが有効であった。