肥大性肺性骨関節症 (hypertrophic pulmonary osteoarthropathy以下HPOと略す) は成因不明の, 肺癌に多く合併する症候群である.HPOの成因を考察するうえで興味深い症例を経験したので報告する.
肺腺癌の49才男性が, 両側下肢関節痛を訴え, 検査の結果HPOと診断された.関節痛は, 化学療法および原発巣のみの放射線療法により腫瘍が縮小しても, なお持続していた.しかし, 縦隔へ放射線照射を追加したところ関節痛は著明に改善した.治療前後にプロスタグランジン, ホルモン, CEAを測定しており, これらのデータおよび臨床経過より, 肺癌縦隔病変がHPOに関与している可能性が推測された.