地理空間
Online ISSN : 2433-4715
Print ISSN : 1882-9872
フードデザートマップを用いた後期高齢者の買い物環境
鶴岡市中心部DID地区を対象として
中村 みず季渡辺 理絵
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ジャーナル オープンアクセス

2014 年 7 巻 1 号 p. 33-50

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抄録

 本研究は,鶴岡市中心部DID地区を対象にフードデザート問題の現状を明らかにする。具体的には買い物環境が悪化したと推測される地域に在住する後期高齢者の食品摂取の状況を検討した。まず,生鮮食料品店までのアクセシビリティに基づき,2時点のフードデザートマップを作成し,買い物環境の良し悪しを可視化させた。結果,2001年から2012年までの間に当該地区において買い物の利便性に関する格差が広がっていることが読み取れた。そこでこうした地域に暮らす後期高齢者11世帯に,買い物環境と食品摂取の状況について調査した。その結果,予想どおり11世帯の買い物環境は悪化していたが,食品摂取の状況は良好であった。その要因として,買い物の支援者がいること,個人商店の利用などがある。しかし,行政や民間による支援策が現段階ではほぼないことや今後も高齢者人口比率が高まることから,フードデザート問題の拡大が懸念され,先行的な対策が求められる。

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© 2014 地理空間学会
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