2013 年 69 巻 2 号 p. I_838-I_843
サンゴ礁州島は,サンゴ礁上にサンゴ礫で形成された標高1~2m程度の低平な島であり,静水面よりわずかに高い位置に形成される.その地形変化については,短期間の高波浪により形成・消失された報告はあるものの,観測データ取得が困難でありそのメカニズムについては未解明な部分も多い.本研究では,西表島北方リーフ上にサンゴ礫だけで形成されるバラス島を対象として現地調査および水理実験を行い,その地形変化メカニズムについて検討を行った.その結果,以下の結論を得た.1)台風時の強い外力により堆積・侵食・移動の地形変化を繰返す.島の移動方向は流れを主体とした外力の卓越方向と定性的に一致する.2)枝サンゴを中心としたサンゴ礫は,底面流速として概ね0.7m/sが移動限界流速と考えられる.