日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
オレキシン神経系とナルコレプシー
近藤 英明神林 崇清水 徹男
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2006 年 95 巻 4 号 p. 748-755

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抄録

覚醒機構と摂食行動とは密接に関わっている. オレキシンは両者に関わる神経ペプチドである. 1998年桜井らにより発見され食欲を増進させることよりorexinと命名された. ほぼ同時期にde Leceaらは視床下部に特異的に産生されるペプチドとして同じペプチドを発見しhypocretinと命名した. 2000年にはオレキシン神経系の脱落がヒトのナルコレプシーで確認され, ナルコレプシーに特徴的なREM関連症状とオレキシン神経系との関わりについて明らかにされてきた. その後ナルコレプシー以外の神経疾患でも視床下部の障害によりナルコレプシー類似の症状をきたす症例が報告されるようになった. オレキシンがエネルギーバランス, ストレスと関連することより内分泌代謝, ストレス関連領域でもオレキシンに注目した研究がすすめられてきている. 本稿ではオレキシン神経系の生理的な役割とナルコレプシーの病態への関わりについて概説する.

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© 2006 一般社団法人 日本内科学会
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