心身医学
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ストレス・コーピングと飲酒行動(1997年/第38回日本心身医学会総会/東京)
白倉 克之
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1998 年 38 巻 5 号 p. 301-308

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抄録

近年わが国のアルコール依存症者数の増加傾向が指摘され, 依存症者およびアルコール関連問題を有する患者数は, 全国で約230万ないし250万人に達すると推定されている.事実アルコール依存症者像についても, 30数年前の中年ブルーカラー男性という固定したイメージは払拭され, 産業メンタルヘルス領域で問題とされる「職場の3A」の一つとして, ホワイトカラー族はいうに及ばず, キッチン・ドリンカーという造語にみられるように家庭婦人やOLなどの女性患者, 最近では未成年者や高齢者にもその急増が指摘されるなど, アルコール依存症ないしアルコール関連問題を抱える患者層の多様化が顕著となっている.一方では近年の国民医療費の急増, 高齢化・少子化現象に基づく就労人口の激減などに直面している事実に鑑み, アルコール問題は早急に解決されなければならない焦眉の社会問題の一つといっても過言ではない.厚生省も従来の成人病という概念を修正して, 1996年より生活習慣病という概念を導入し, がん・脳血管障害・高血圧症・糖尿病などとともにアルコール症についてその対策や予防に全力を傾けている状況である.以上のような状況に鑑み, 本稿では前半でアルコール医療について簡単に解説するとともに, 後半ではストレス・コーピングの立場から飲酒行動について述べてみたい.

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© 1998 一般社団法人 日本心身医学会
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