2015 年 51 巻 3 号 p. 193-195
レチノイドは,イソプレン4ユニットから成る炭素数20個のジテルペノイドであり,二重結合を5個持つ構造をしている.一般に,ビタミンAといわれるのは,その末端官能基がアルコール体(レチノール)のことであり,生体中では酸化されて活性本体となり作用を発現する.第一の酸化段階は,アルデヒド体(レチナール)で視覚に関与している.第二の酸化段階は,カルボン酸(レチノイン酸)で核内受容体のシグナル分子として作用し,遺伝子の発現調節に関わっている(図1).
筆者らの研究室では,ビタミンA誘導体,特にレチナールとレチノイン酸のアナログ化合物を用いて,生物機能を解明することを目指して研究を行っており,その一部を本稿で紹介する.