農業施設
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発芽玄米製造時の微生物制御
鈴木 啓太郎前川 孝昭
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1999 年 30 巻 2 号 p. 137-144

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抄録

食品の製造および加工段階における衛生管理として, 食品に対する微生物汚染防止策が重要である。ここでは, 発芽玄米製造時の微生物制御法について検討した。特に, 食品添加物としての次亜塩素酸ナトリウムおよびかき殻焼成カルシウムによる玄米の殺菌処理, 紫外線照射による浸漬水の殺菌処理および活性炭-中空糸膜型ろ過装置による浸漬水のろ過処理の効果を検討した。発芽工程開始後1時間での浸漬水の一般生菌数は, 玄米の未殺菌処理区が104CFU/mlであったのに対し, 0.1%次亜塩素酸ナトリウム水溶液10分間の殺菌処理では102CFU/ml, 0.1%かき殻焼成カルシウム懸濁液10分間の殺菌処理では102CFU/ml, それぞれ2logオーダーの除菌効果が得られた。さらに, 発芽工程中における曝気水の玄米浸漬タンクへの循環 (エアレーション・ステージ) および高温脱酸素処理水の循環 (ノンエアレーション・ステージ) を経過した貯水タンクでの浸漬水への紫外線照射は, 浸漬水中の微生物の増殖を抑制した。発芽工程を通して, 紫外線を連続照射した時が最も一般生菌数が低く, 102CFU/ml以下で推移した。貯水タンクでの浸漬水の活性炭-中空糸膜型ろ過装置によるろ過処理は, ろ過後の浸漬水の濁度値に減少が見られ, 紫外線の透過度が改善できた。

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