日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
C型肝炎ウイルスと肝外病変
長尾 由実子佐田 通夫
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 96 巻 11 号 p. 1249-1257

詳細
抄録

C型肝炎ウイルス(HCV)は,慢性肝障害や肝細胞癌の発生要因として極めて重要であると共に,最近では肝臓以外の臓器や組織にも障害を引きおこすことが知られるようになり,これらを総称して肝外病変と呼んでいる.HCVが関係する肝外病変は多彩であるが,その主な病態として,クリオグロブリン血症,膜性増殖性糸球体腎炎,晩発性皮膚ポルフィリン症,Sjögren症候群,慢性甲状腺炎,悪性リンパ腫,扁平苔癬などがあげられている.肝炎ウイルスの感染が関与した肝外病変の研究は,原因が解明されていない疾患の概念や治療法の確立に寄与するだけでなく,まだ不明な点の多い肝障害の病態を解明する突破口になる可能性がある.

著者関連情報
© 財団法人 日本消化器病学会
次の記事
feedback
Top