日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
今月のテーマ:消化器疾患の栄養療法
慢性膵炎の栄養療法
伊藤 鉄英安田 幹彦河辺 顕大野 隆真加来 豊馬久野 晃聖
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2007 年 104 巻 12 号 p. 1722-1727

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抄録

慢性膵炎においては病期にあった栄養療法が必要である.代償期では,疼痛予防,急性再燃の予防を主眼とした栄養管理が主体となり,膵への過度の刺激を避ける食事療法,特に脂肪制限が重要である.非代償期では,栄養療法に加え適切な薬物療法を行わないと消化吸収障害および膵性糖尿病が顕在化することで低栄養状態が進行する.便中への脂肪喪失を考えても一律に低脂肪食を指導すべきでなく,十分量の脂肪を摂取させ,十分量の消化酵素剤を投与すべきである.また,膵性糖尿病の治療は,消化酵素剤を投与した上でインスリン量を決定する必要がある.栄養状態を改善することが重要であり,高血糖回避のためのエネルギー制限は必要でない.

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© 2007 (一財) 日本消化器病学会
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