人間ドック (Ningen Dock)
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原著
脂肪肝症例における肝線維化指標FIB4 Indexの経時的変化
小林 伸行都築 隆萬造時 知子渡部 洋行竹澤 三代子土屋 敦土屋 章
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2014 年 29 巻 1 号 p. 34-41

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抄録

目的:脂肪肝の線維化の指標としてのFIB4 Indexの有効性を検討する.
方法:複数回受診の脂肪肝症例について,初回と最終回受診時のFIB4 Indexを算出した.線維化のcut off値を2.67とし,初回受診時2.67未満の12,059例を対象とした.初回から最終回受診までの期間,FIB4 Indexの変化を求めた.最終回受診時にFIB4 Indexが2.67以上へ上昇した症例について,性別,アルコール性/非アルコール性の脂肪肝種類別に比較した.FIB4 Index算定式の各因子(年齢,AST,ALT,血小板数)および超音波画像の変化を検討した.
結果:最終回にFIB4 Indexが2.67以上に上昇したものは161例(1.3%)であった.この上昇群では初回からFIB4 Indexが有意に高値であった.観察期間5年未満のFIB4 Index上昇群の頻度1.1%に対し,5年以上では1.6%と有意に多かった.男女間やアルコール性,非アルコール性によるFIB4 Index上昇群の頻度には差を認めなかった.算定式の4因子のうち,ASTの変動が最も大きくAST/ALT比も初回0.86から最終回1.18と上昇した.初回から最終回の超音波画像上の変化は,161例中3例に肝辺縁の鈍化を認めたのみであった.
結論:FIB4 Indexの変化に要する期間や,AST優位への変化から,線維化の予測指標としての可能性が示唆された.

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© 2014 公益社団法人 日本人間ドック学会
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