静脈経腸栄養
Online ISSN : 1881-3623
Print ISSN : 1344-4980
ISSN-L : 1344-4980
特集:高齢者の栄養管理 そのポイントとup to date
高齢者の栄養評価
大荷 満生
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 22 巻 4 号 p. 439-445

詳細
抄録

高齢者医療における栄養評価の重要性について、(1)高齢者の栄養障害の特徴、(2)高齢者の自立障害とsarcopenia(筋肉減少症)、(3)高齢者の栄養評価の進め方の3点を中心に概説した。
高齢者の低栄養には、骨格筋と脂肪組織の消耗が著明であるが、内臓蛋白は比較的保たれるため浮腫をみないマラスムス型PEMと内臓蛋白の低下が著しく高度の浮腫をみるカシオコール型PEMが混在する。高齢者の栄養状態を内臓蛋白の指標である血清アルブミンだけで評価すればマラスムス型PEMを見落とし、これとは対照的に身体計測指標だけで評価すればカシオコール型PEMを見落とすことになる。したがって、高齢者の栄養評価では、血清アルブミンなどの血液検査所見と身体計測指標を組み合わせて評価することが重要である。また、加齢に伴う筋肉量の減少と筋力低下は、sarcopeniaと呼ばれ、高齢者の転倒や骨折、寝たきりなどの自立障害を引き起こす大きな原因になる。高齢者の筋肉量を正確に評価し適切な栄養治療をおこなうことは、高齢者の健康維持や自立障害の予防に重要である。高齢者の栄養評価法としては、在宅や施設入所の高齢者を対象とする場合は、血液検査を必要とせず、簡単な問診と身体計測によって評価が可能なMini Nutritional Assessment(MNA)が有用である。一方、高齢入院患者を対象とする場合は、血清アルブミンと理想体重比から求めるGeriatric Nutritional Risk Index(GNRI)が有用である。いずれの栄養評価法も高齢者あるいは高齢患者の臨床経過や生命予後のよい指標となる。

著者関連情報
© 2007 日本静脈経腸栄養学会
前の記事 次の記事
feedback
Top