1996 年 44 巻 4 号 p. 465-470
本研究においては第2極体放出阻止型雌性発生によるホモ (HH) 型ホウライマスの作出を検討した。ヘテロ (HN) 型ホウライマス雌親から得られた雌性発生二倍体は, ホモ (HH) 型ホウライマスとホモ (NN) 型ニジマスであった。雌性発生二倍体ホウライマスを性転換雄とすることで, 全雌ホモ (HH) 型ホウライマスの作出が可能となり, これらは無斑異質三倍体の生産用雌親魚群として利用できることが示唆された。雌性発生による近交弱勢の危険性を検討するために, 他系統ニジマスとの交配により得られたF1ホウライマスと, これより作出された雌性発生二倍体の遺伝的変異性をアイソザイムにより比較した。雌性発生二倍体の遺伝的変異性はF1ホウライマスに比べてやや低下していた。第2極体放出阻止型雌性発生によるホモ (HH) 型ホウライマスの作出方法は, 後代検定法に比べて時間的短縮, 作業量の軽減が期待でき, ホモ (HH) 型ホウライマスの作出手法としては有効であると考えられた。