糖尿病
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清涼飲料水の多飲を契機に発症, 高カルシウム血症, 高トリグリセリド血症と無痛性急性膵炎を合併した2型糖尿病での糖尿病性ケトアシドーシスの1例
田中 正巳宮崎 康
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2001 年 44 巻 11 号 p. 913-916

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抄録

症例は36歳の男性. 約1カ月前から全身倦怠感が出現, 2週間前から口渇が強く, ペットボトル清涼飲料水を多飲, 次第に動けなくなり, 意識が混濁した. 糖尿病性ケトアシドーシス (DKA) と診断, 大量輸液, インスリン持続投与を開始した. カルシウムは11.8mg/dl, 中性脂肪 (TG) は777mg/dlであった. アシドーシスが改善し, 意識清明となった後も高血糖は持続した. アミラーゼ, エラスターゼ-1, リパーゼの高値およびCT上膵腫大を認め, 急性膵炎の合併が判明したが, 腹痛は認めなかった. 膵炎の治癒に伴い血糖コントロールは改善, 入院時15.1%であったHbA1cは退院時9.3%まで低下した, 糖尿病性網膜症は認めず, 抗GAD抗体は陰性であった. 清涼飲料水多飲を契機に発症, 無痛性膵炎を合併した2型糖尿病のDKAであり, 高TG血症と高カルシウム血症が急性膵炎発症に関与した可能性がある点, 合併した膵炎が無痛性であった点, 急性膵炎が蛋白質合成酵素阻害薬を使用せずに治癒した点などより, 興味深い症例と考えられた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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