症例は50歳男性. 12年前, 急性膵炎と糖尿病を発症した. 大量の飲酒を続け, 血糖コントロールは不良であった.1年前より, 水様性の下痢, 口内炎, 味覚障害, 頭髪や眉毛の減少, 手指と足趾末端に亀裂, 痂皮, 落屑を伴う紅斑が出現. 血中亜鉛は39μg/ml (50-140) と低値を示し, 硫酸亜鉛の経口投与にて, 症状は著明に改善した. アルギニン負荷試験にてインスリンとグルカゴンは共に低反応であり, 膵性糖尿病と診断した. 亜鉛投与後, 全身状態の改善に伴い耐糖能も改善し, アルギニン負荷試験でのインスリン分泌も亜鉛投与前と比較して若干の改善を認めた.