糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
膵性糖尿病の臨床経過
とくに合併する血管障害についての検討
右田 良克大島 彰若杉 英之
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 37 巻 12 号 p. 901-906

詳細
抄録

病期の進行に伴い慢性膵炎に合併してくる糖尿病, 高血圧症, 細小血管症の発生状況ならびに経過を調査し, 膵性糖尿病合併症の患者予後に与える影響につき検討した.対象は膵性糖尿病長期経過観察症例13例であった.糖尿病罹病期間10年以上の9症例中6例に高血圧がみられ, 血圧のコントロールに難渋する場合が多かった.その発現は糖尿病が確認されて11~17年 (平均13.5年) 後であった.6例中5例で同時期に網膜症・腎症が出現した.合併症が出現するまでの血糖コントロールは不良であった (HbA1 10.6~12.9%).死亡例は7例あったが, 死因の多くは糖尿病合併症によるものであった.膵性糖尿病における合併症の頻度は一次性糖尿病と差はないと考えられているが, 本研究により, 特に血管合併症は慢性膵炎の予後を大きく左右すると思われ, 合併症の早期発見・適切な治療とそれに先行する糖尿病のコントロールが重視されねばならないことが示唆される.

著者関連情報
© 社団法人 日本糖尿病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top