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野球経験者の新たな可能性 part.2

甲子園準優勝経験者「武蔵平」が角界に挑戦

 

広陵高時代に甲子園のマウンドを経験し、卒業後は亜大に進学。将来のプロ入りを見据えていたが、大学でヒジを痛め、夢をあきらめた。
だが、そこから新たな出会いに恵まれ、現在は大相撲界に挑戦する森宗順平を追った。


 2013年1月、亜大出身の左腕投手、森宗順平が角界入りし、注目を浴びた。広陵高校時代には甲子園に2度出場。エース・野村祐輔(現広島)の1学年後輩で、2年夏には準優勝の経験もある。亜大では1年秋に左ヒジを痛め、以来ベンチを温める日々が続き、東都大学リーグでは一度も登板することができなかった。将来はプロ入りを希望していたものの、その夢はついえ、卒業後の進路に悩む。

 そんなとき、亜大・生田勉監督の知人を介して紹介されたのが、当時武蔵川部屋を再興予定だった元横綱武蔵丸だった。もともと格闘技ファンでもあった森宗は言う。

「力士は体が大きくなければ無理だろうと思っていたんです。でも、親方から、『みんな最初から体ができているわけではない。コツコツと努力をして力士の体ができていくんだ』と言われ、それなら自分でもできるのではないか、と思ったんです」

 師匠である武蔵川親方は、当時の森宗について、こう語る。「何より良かったのは、森宗は夢を持っていたこと。野球は中途半端のままで終わってしまったけれど、潔く気持ちを切り替えて、それをステップにして次の世界に挑戦したい、との思いが素晴らしかった」

 22歳にして相撲未経験での入門だったが、武蔵川親方は言う。「年齢は関係ない。もともと運動能力とセンスがあるし、彼の場合は腕力があり、体のバネも良かった。勝負に対する熱い気持ちと、強い精神力は、野球で培ったものだろうね」

 四股、すり足、てっぽうと相撲の基本を一から学んだ森宗は、同年7月の名古屋場所で、初めての勝ち越しを経験。「野球はチームプレー、相撲は個人競技で、よくも悪くも全部が自分の責任。野球で負けたときより悔しいし、初めて勝てたときは、ものすごくうれしかったんですよ」と笑顔を見せていた。しかし、その直後、稽古中に左足の十字じん帯を断裂し、手術を受けることに。半年間の休場でリハビリ生活を送った。「野球も相撲も下半身が大事。野球で鍛えていたつもりでしたが……。野球時代は特に意識しなかったんですが、やはり何事も・・・

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