野坂昭如「火垂るの墓」再評価 ─作品末尾の改変をめぐって──

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  • Re-evaluating of Akiyuki Nosaka’s “Hotaru no haka” : Additions, Deletions and Corrections of the Story,s Ending

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抄録

野坂昭如「火垂るの墓」は、初出と、初刊とで本文末尾に異同(削除と加筆)が認められる。「火垂るの墓」は、反戦を訴える作品として一般的に受容されてきた。文学研究の分野では、作者の実妹への鎮魂と贖罪が主題であると捉えられてきた。しかし、本作末尾の加除を考慮したとき、そのような評価は、転換を迫られる。  本稿では、「戦災孤児等保護対策要綱」に対する今までの誤認を指摘するとともに、作品末尾にみられる加除に注目することで、反戦文学として読まれてきた「火垂るの墓」を、実妹への鎮魂と贖罪という枠組みを超えた新たな読みを提示しようと思う。

収録刊行物

  • 日本語日本文学

    日本語日本文学 (30), 27-42, 2020-03-18

    創価大学日本語日本文学会

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