パーキンソン病に対する鍼治療の臨床効果に関する研究-ランダム化比較試験(RCT)による検討-

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  • The Clinical Effects of Acupuncture in Patients with Parkinson's Disease: A Randomized Controlled Trial

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抄録

【目的】パーキンソン病に対する鍼治療の臨床効果と,鍼治療が脊髄前角細胞や大脳に及ぼす影響を検討した.【対象】パーキンソン病患者26例を無作為に,標準鍼治療群13例(平均68.0歳)と低頻度鍼治療群13例(平均72.8歳)に分け,治療効果を比較した.【方法】治療効果の評価は,各鍼治療期間の前後に,1)パーキンソン症状はUPDRS,2)運動症状はTUG(歩行バランス能力),FRT(姿勢保持能力),大腿四頭筋筋力,3)うつ症状はGDS,4)QOLはPDQ-39を測定した.鍼治療の治効機序の検討のため,5)筋電図で,脊髄前角細胞の興奮性をF波,大脳を経由しパーキンソン症状と関連する長潜時反射,6)血液検査で神経栄養因子(IGF-1,IGFBP-3),炎症関連物質(Hs-CRP,TNF-α,IL-6)を測定した.【結果】両治療群で治療効果に差はなかったが,各治療群で治療期間の前後において,UPDRSとTUGの改善が認められた.標準鍼治療群で,FRTの改善,F波出現率の低下が認められた.また,標準鍼治療群で,LLRの振幅が低下した症例では,パーキンソン症状や運動症状の改善する傾向が示された.【考察】両治療群でパーキンソン症状や運動症状の改善が認められた.鍼治療は,脊髄前角細胞の興奮性亢進を低下させ,大脳基底核から大脳皮質や脳幹への過剰出力に対する抑制効果を有する可能性が考えられた.(著者抄録)

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