マニュアルと手順書の違いとは?作成のポイントから運用方法を解説

最終更新日: 2024.03.28 公開日: 2019.07.09

マニュアルと手順書の違い

マニュアルを整備することで誰でもスムーズに作業を進められるようになるほか、業務効率化や生産性の向上につながるメリットがあります。

マニュアルとよく似たドキュメントに手順書がありますが、2つは異なるものです。本記事では、マニュアルと手順書の基本知識とそれぞれの役割の違い、作成が必要な理由、作成のポイントなどをご紹介します。ぜひ参考にしてください。


マニュアル作成の教科書

目次

マニュアルと手順書の違い

マニュアルも手順書のどちらも「業務」に関する情報が記載される点で共通しますが、「取り扱う情報の範囲」に違いがあります。以下の項ではマニュアルと手順書について、それぞれの特徴や内容をより詳しく解説します。

マニュアル(業務マニュアル)とは?その目的

マニュアルとは、業務に関するノウハウや業務全体の進行方法をまとめたドキュメントであり、「業務全体の概要や流れ、ルールなど」を表すものです。広義には、会社や組織の持つ伝統や社員の知識などを、形式的な文章(ドキュメント)によって共有・伝承するためのものとされています。これは、業務の全体像を理解できるようにまとめるのが基本です。

マニュアルを作成する目的として、業務の効率化や一人ひとりが担う定常業務量の均一化があります。進行方法を統一することで誰がどの仕事をするのか責任の所在が明確になり、作業の再現性を高めることによって品質の向上と安定化、安全性の確保も可能です。マニュアルを活用することで、従業員の教育や育成がしやすくなり、業務の安定性や生産性の向上にも寄与します。また、企業の成長や従業員の転職などに対応するためにも、マニュアルの作成と適切な活用は重要です。

手順書(作業標準書、作業手順書)とは?その目的

手順書とは、作業の工程や単位作業の進め方をまとめたドキュメントです。業界によって作業標準書や作業手順書、SOP(標準作業手順書)と呼ばれることもあります。これは主に「業務手順の明確化と平準化」を目的に作成されるものです。

手順書は、業務の中にある作業の具体的なやり方を表したものであり、作業者がそれに従って作業を行うことで、誰がやってもほぼ同じ結果が得られます。手順書は業務の中のひとつひとつの作業に焦点を当て、作業の流れや手順を詳細に明記しています。例えば、何かを切る作業であれば、「どんな道具を使い、どれぐらいの大きさで切るか」などの細かく具体的な情報です。

マニュアルと手順書の役割の違い

マニュアルと手順書では、それぞれ読み手に提示する内容と果たす役割が異なります。両者の主な違いを解説します。

マニュアルの役割

マニュアルは企業内でさまざまな役割を果たします。そのひとつが、企業内に蓄積されたノウハウや知識を文書としての形で残すことです。マニュアル化は、従業員が持つ言語化されていない経験や知識といった暗黙知を明示的な知識に変換する作業です。文章や図表を使い、暗黙知を誰もが利用できるマニュアルにまとめることで、社内全体での情報共有が可能になります。これにより、転職や離職の際に従業員が持っていた貴重なノウハウや知識が失われることを防止し、企業の持続的な成長や業績向上にも貢献するわけです。

マニュアルのもうひとつの役割として、業務の標準化があります。業務の全体像やルール、作業の流れをまとめることで、業務の内容を明確にし、全ての社員が経験に関係なくほぼ同じ品質で業務を行えるようになります。

マニュアルは、業務の手順だけでなく、概要や理由、達成すべき目標や品質なども説明する点で手順書と異なります。マニュアルを読めば、従業員は業務の前後にある手続きや影響範囲について分かるため、適切な行動を取るのに役立ちます。また、業務のフローの必然性を把握し、プロセスそのものや作業についての理解を深めることも可能です。

手順書の役割

手順書は、従業員に業務の進行に関する具体的な手順や基準を示す役割を果たします。手順書を参照しながら作業を進めることで、能力の差に関係なく、どの従業員でも近い品質で業務を遂行できるようになります。

手順書は、従業員が理解し手順を実践できるように、各ステップが細かく記述されなければなりません。その内容は主に業務内容や進行方法で、マニュアルと内容が重複する場合もありますが、手順書ではより具体的な説明が示されます。

マニュアルでは業務全体の概要や大まかな流れも記載されているのに対し、手順書は業務の作業範囲に情報が絞られ、具体的な作業方法を詳細かつ丁寧に提示する点で異なります。作業方法に焦点を当てていることから、手順書の情報量はマニュアルよりも少なめです。

マニュアルと手順書の記載項目の違い

マニュアルと手順書では、掲載されている情報の粒度やメインに記載される部分が異なります。それぞれの記載項目の違いを解説します。

マニュアルの記載項目

マニュアルには業務の手順はもちろん、業務を円滑に進めるための規定や規則など、総合的な内容が求められます。具体的な記載内容としては、業務全体のプロセスや達成すべき目標、品質の基準、ノウハウ、失敗例、注意点などがあります。作業方法についても全体的な部分はマニュアルに記載しますが、詳細部分は手順書で説明しましょう。

マニュアル(業務マニュアル)とは?

意味 "業務"に関するノウハウと業務全体の進行方法をひとつにまとめたドキュメント
記載すべき
項目
前提情報(事業方針・事業理念・事業内容など)
全体フロー(仕事の流れが把握できる図・注意事項など)
基準(業務の判断基準・合否ライン・目安時間・品質など)

業務全体の情報をまとめるため、マニュアルの作成には時間がかかります。時間に余裕がない場合は、デザインや構成、記載項目がすでに決まっているテンプレートの利用も検討してみましょう。

マニュアルの記載項目については、以下の見出しにある3つの項目が記載されていることが理想です。

1.「前提情報」を定義したもの

業務をスムーズに進めるために必要な前提知識や概念が該当します。(事業方針・事業理念・事業内容・全体のシステム・組織の構成・共有しておく法令・サービス利用者の注意など)

2.「全体フロー」を定義したもの

業務の進め方が該当します。業務には複数の作業や判断が必要になります。そのため、マニュアルには、「仕事の流れが把握できる図・注意事項・処理の方法・イレギュラーな事態への対処法など」が記載されていることが重要です。

3.「基準」を定義したもの

業務の判断基準・合否ライン・目安時間・品質を測る指標などが該当します。一般的に多くの業務は多重構造を持つ場合がほとんどです。そのため、業務マニュアルを作成する際は、業務をどこで区切るかが大切なポイントになります。作成前に「仕事をどう分類するか」の目安を決めておくとスムーズに作成できるはずです。

手順書の記載項目

手順書は、作業の工程や単位作業の進め方をまとめたドキュメントです。従業員が業務を進める際に、作業の詳細な手順を確認しながら実践するために使用されます。なお、単位作業とは、一人で完結する定型的な作業のことです。

手順書(作業標準書、作業手順書)とは?

意味 作業の工程や単位作業の進め方をまとめたドキュメント
記載すべき
項目
作業の「名前」や「目的」
作業に必要な準備物
基準(作業の時間や合否ライン)
手順の解説と動作ポイント
その他動作時の注意事項など

最低限記載すべき項目としては以上のようなものがあります。作業の目的や必要な道具・知識、重要なポイントの明示、作業の目安時間や完了基準などを具体的に記載しましょう。危険を伴う作業がある場合は、注意喚起のために必要な事項を記載することも重要です。

手順の説明は具体的に書くように心がけましょう。曖昧な部分があると、従業員が迷う原因となり、手順書の効果を低下させかねません。文章以外にも、視覚的に理解しやすい写真や動画などの活用をおすすめします。

項目の記載例

手順書を作成する際には、ものづくりの現場で一般的に行われている分析手法が役立ちます。作業分析では、作業者の動作を工程・作業・動作の3つの区分けに整理して分析し、作業工程のムダを発見できます。そのムダを省けば、効率的な手順を組み立てることが可能です。作業の分類にあたっては、「工程」「単位作業」「要素作業」「動作」という4つの段階の粒度で業務の内容を分けることで、作業工程の分析や手順の改善がしやすくなります。

例えば、「カレーを作る」という作業を例にすると、以下のように表現できます。

工程 カレーを作る
単位作業 肉を切る、人参を切る、具材を炒める etc
要素作業 包丁をもつ、人参を掴む、フライパンを振る etc
動作 包丁に手をのばす、包丁を掴む、包丁を持ち上げる etc

手順書は、工程または単位作業ごとに作成され、要素作業を「手順」としてステップ化するのがポイントです。ステップ化した要素作業を補足・説明する際には、文章や写真を使用して、作業すべき動作を明確に表現します。そのため、多くの手順書には、「作業に必要な準備物」や「手順の解説」などの項目が詳細に記載されています。

マニュアルと手順書の作成手順の違い

内容的に重なる部分もあるマニュアルと手順書ですが、実際に作成する際の手順では、最初の段階に違いが表れます。

マニュアルの作成手順

マニュアルの作成手順を簡単に示すと、以下の通りです。

(1)目的と対象範囲を決める(対象となる作業を洗い出す)
(2)構成(目次)を作成する
(3)構成通りに内容を作成する
(4)テスト運用を行ってフィードバックを得る
(5)フィードバックを参考にアップデートを繰り返す

納期がある場合は、マニュアル作成にかかる時間を計算してスケジュールを組みましょう。

事前にマニュアル化の目的をしっかり定めることで、利用シーンが具体的になり、理解しやすいマニュアルの完成につながります。対象となる作業範囲を洗い出す際は、一旦メモにアウトプットしてから整理していくと、対象作業を絞り込みやすくなります。誰が・何をするために・どの作業を記載すべきか、何の課題を解決すべきかなどを書き出し、構成に落とし込めるよう記載事項を明確化していきましょう。

一連の作業をメモで書き出すと、重複する作業が発見できる場合もあり、業務の見直しに役立ちます。重要な部分やミスしやすい部分、注意点がある場合は、それらを書き出しておいてミスの再発防止と知識の情報共有をしましょう。

重要なのは、作成が完了した後も定期的にアップデートしていくことです。現状を反映していないマニュアルの存在は、現場に混乱を生む原因になります。信頼性が低いと判断されれば、個々の従業員が異なる手順で作業を開始する可能性も出てくるため、マニュアルのアップデートは必ず行ってください。

手順書の作成手順

手順書の作成手順を簡単に示すと、以下の通りです。

(1)作業の洗い出し
(2)構成(目次)の検討
(3)内容の記載
(4)テスト運用を行い、フィードバックを得る
(5)アップデートする

手順の大部分はマニュアルの作成方法とあまり変わりません。ただ、手順書を作成する際は最初の段階が異なり、業務完了までに必要な手順を作業の最小単位ごとに洗い出します。挨拶の声掛けや必要なものの準備、お客様への案内、会計など、従業員が行うべき手順を細かく選定し、ひとつひとつ整理していきましょう。

実務との食い違いがあると手順書の意味がなくなるため、現場の仕事や従業員の声を聞いて作成することが肝心です。また、読み手が理解できて初めて活かされるため、誰が読むのか考えながら作成しましょう。手順書の作成方法や運用の流れについては後ほど詳しく解説します。

マニュアルと手順書の作成における注意点の違い

それぞれのドキュメントを作成する際に注意すべき点について解説します。利用シーンが異なるため、記載する情報の粒度や掲載範囲には特に気をつけなければなりません。

マニュアル作成の注意点

マニュアルに細かい作業内容まで記載するのはおすすめできません。マニュアルは業務全体の情報を記載するため、ページ数が増えて分厚くなりがちです。そこへさらに細かい手順まで詳細に書き込んでしまうと、テキスト量は膨大になり、結果的にマニュアルは読まれなくなってしまいます。もし文章量が増える場合は、図や写真などの視覚的な要素も活用して説明しましょう。

マニュアルは大きな単位の業務に関する内容をまとめたドキュメントです。新入社員の入社や人事異動などがあった際に、新しい業務領域の全体像を把握するためのものとして位置づけましょう。日常業務で参照される内容は手順書に細かく落とし込み、読み手が読みやすい分量に抑えることが重要です。

手順書作成の注意点

手順書の目的は、従業員全てが質の高い作業工程を再現できるようにすることです。そのため、手順書さえ読めば誰が作業しても同じ成果が得られるように書かれていることが理想です。

手順書が適切に整備されると、高い再現性が確保され、どの従業員が担当してもほぼ同じ業務が実行できるようになります。しかし、手順書の内容が読み手にとって分かりにくい場合は、その効果が発揮されません。そこで、5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)を満たすように指示を記載するなど、具体的な記述で、明確に伝わるように書くことが重要です。

手順書を作成しても生産性が上がらず、課題が解決しなかった場合は、手順書の内容に問題があるか、手段が間違っている可能性があります。手順書の内容や問題解決のアプローチ方法を見直すようにしましょう。

「取扱説明書」や「規定」はマニュアルや手順書と何が違う?

手順書と混同されやすい言葉として「取扱説明書」「規定」が存在します。

「取扱説明書」は、その名の通り「機械やソフトウェアなどの操作方法や取り扱い方」を記した文書です。手順書とは異なり、業務の実現に関する説明は含まれず、主にモノに対する操作や取り扱い方法に焦点が当てられています。また、「取扱説明書」は「機械やソフトウェアの利用者」を対象に作成されるのに対し、手順書は「業務の作業者」を対象にして作成されるものです。

一方、「規定」は手順書と同じく、業務の作業者を対象としています。しかし、規定は「作業を進める上で守るべきルール、考え方、共有すべき価値観」を記したものであり、具体的な作業手順は含まれていません。両者は作業現場で頻繁に使用される言葉のため、それぞれの違いを理解し、混同しないようにしましょう。

マニュアルは業務の全体像やフローを把握し、業務に必要なノウハウや進行方法などをまとめたドキュメントです。一方、手順書は作業のプロセスが解説され、作業の工程、単位作業の進行方法について詳しく記載されたドキュメントです。どちらも作業や業務の基準となるため、見る側にとって分かりやすく作成する必要があります。

「Teachme Biz」は、このような分かりやすさを重視したマニュアルや手順書の作成に役立つツールです。Teachme Bizでは、画像や動画を使ったビジュアルベースのマニュアル・手順書を簡単に作成できます。視覚的に作業手順が理解されるため、分かりやすさが格段に向上します。

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分かりやすいマニュアル・手順書を作成するポイント

マニュアルや手順書を作成する際には、「読み手に伝わる表現かどうか」「分かりやすいかどうか」という点が最も重要です。そこで、読み手が理解しやすい書き方について解説していきます。

すべての要素を明確化させる

内容は具体的であることが重要です。具体性を高めるために、5W1Hを意識して作成しましょう。「いつ」「誰が」「どこで」「何を」「なぜ」「どのように」という要素が明確に表現されると、業務に初めて取り組む人にも理解しやすくなります。

要素のうちひとつでも欠けていると、「読んでもよく分からない」「何をすれば良いか自分ひとりで判断できない」といった状況につながる可能性があります。このような事態を防ぐためにも、マニュアルを作成した後は5W1Hの要素がすべて含まれているかをチェックしましょう。

視覚的に分かりやすくする

マニュアルや手順書では、視覚的な要素も重要です。情報を視覚的に整理することで、より簡単に内容を理解できます。文章だけで構成されたものは分かりにくく、理解するまで時間がかかりかねません。そのため、読み手にストレスを与えることもあります。

マニュアルの場合は、フローチャートを導入することも効果的です。感覚的に分かりやすく工夫し、読者がスムーズに実践に移れるようにしましょう。
手順書の場合、具体的な操作に関わる画像や動画を使用することで分かりやすさが向上します。作業全体の流れの把握を促すことに加え、実際の業務をイメージしやすいことも重要です。

デザインに凝りすぎない

伝えるという点で、デザインは重要な要素です。フォントの種類やサイズ・配列・画像など、デザインを整えるだけでも情報はスムーズに伝わります。しかし、デザインには凝りすぎないよう注意しましょう。

作成で重要なことは「相手に分かりやすく伝える」ことです。過度なデザインは、伝えたい情報を遮ってしまうことがあります。本来の目的を見失わないためにも、デザインはシンプルにまとめるのがおすすめです。必要な情報のみをスマートに伝えるようにすれば、編集に無駄な時間を割くこともありません。

読む相手がいる前提で内容を考える

文章には読み手がいることを念頭におきましょう。読み手に合わせた内容にすることが大切です。例えば、新入社員は業務に関する知識が乏しいため、新入社員の知識に合わせて内容を作成するなどの配慮が求められます。

基本的に、文章の作成は業務に関する知識が豊富な社員に任されがちです。しかし、経験豊富な社員が自分の主観のみに基づいて作成してしまうと、相手に伝わりにくくなってしまいます。常に読み手の立場に立ち、客観的な視点で作成することを心がけてください。

すぐ実行に移せる内容で構成する

手順書の場合は、読み手の行動を促すことが重要です。すぐ行動してもらうためにも、「作業の内容」「メリットとデメリット」の2つを明確にしましょう。

例えば、進捗報告作業の場合は、「仕事の進捗状況と評価を行う」との記載では不明確です。そこで、「仕事の進捗を毎週金曜日の16時にメールで報告し、その後仕事の評価をエクセルに記入する」「評価の基準は、総務部が公表する業務評価基準を参考にする」などと書くと、より具体的になるため行動しやすくなります。

難しい用語を多用しない

理解しやすいマニュアルや手順書を作成するにあたって注意したいのが、専門用語の使用です。業務経験が長い人ほど専門用語に慣れているため、その難しい言葉を使いがちです。初心者向けの手順書やマニュアルでは、一部にしか伝わらないような難しい言葉は避け、平易な言葉で説明することが大切です。どうしても専門用語などの難しい言葉が必要な場合は、注釈を入れるようにしましょう。

以上の点に配慮をすることで、伝わりやすいマニュアル・手順書を作成できます。

Teachme Bizは幅広い企業規模や業種で累計数千社の業務効率化をサポートしてきました。Teachme Bizを活用してマニュアル作成の負担を軽減した事例や、研修費用ないし研修時間の削減に成功した事例などをご紹介します。

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Teachme Bizは、マニュアル作成の負担を軽減することはもちろん、マニュアルを従業員教育に活用できる機能や、マニュアルの活用を定着させるためのさまざまな機能が備わっています。Teachme Bizでできることをご紹介します。

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手順書作成から運用までの流れ

ドキュメント作成のポイントと合わせて、マニュアルや手順書を実用するまでの「運用の流れ」を押さえておくことも大切です。一連の流れを理解しておくことで、スムーズに作成を進められます。ここからは業務生産性をより高めるために、手順書にフォーカスし、作成から運用までの流れを確認していきます。また、ステップごとのポイントについても解説します。

マニュアル作成の方法については、以下のページをご参照ください。
参考:マニュアル作成ナレッジー作り方やコツを解説

1. 作業の洗い出しをする

まずは、どの手順書を作成するのか、誰がそれを読むのか、そして何のために作るのかを明確にしましょう。そして、ひとつひとつの作業に必要な情報を洗い出します。社員が実際に働く現場の状況や課題などの作業情報を確認することは、手順書の作成に役立ちます。

手順書が実際の作業と一致していなければ意味がないため、現場の作業を目で見て確認することが重要です。作業を洗い出したら、抽象的な作業を細かいタスクレベルに分解していきます。作業手順を読めば作業ができるよう、詳細に記述しましょう。

情報を洗い出さずに作成された手順書は内容が偏りやすく、記載内容に過不足が生じる可能性があります。これでは使いやすくない手順書になってしまうため、最初の洗い出し作業を丁寧に行い、何を書くべきか、書かないでおくべきかを選別しましょう。

2. 手順書の構成を作る

情報を集め終わったら、次に構成を考えます。構成とは、手順書の全体の流れが分かる骨組みのことです。先に決めてしまうことで、一貫性のある内容に仕上げられます。もし構成を決めずに作り始めてしまったら、内容がチグハグになったり、伝えたい焦点がぼやけたりして、作成がスムーズに進みません。内容の抜け漏れも起こりやすくなります。

一度洗い出した作業を工程や単位作業に整理し、その後は時系列ごとに区切って、実施すべき手順をリストアップすることがポイントです。場合によっては、生産性向上のために不要な単位作業や手順を削除したり、別の方法を検討したりすることも重要です。伝えたいゴールイメージをもとに構成を作り、シンプルにまとめましょう。

3. 実際に手順書を作成する

作成にあたっては、前章で解説した以下の5つの点を徹底しましょう。

  • 内容を具体的にする
  • 視覚的に伝える
  • デザインはシンプルにする
  • 相手の立場になって作成する
  • 難しい言葉は使わない

上記の5つのポイントを押さえるだけで、読み手の理解度は大きく向上します。作成中に意識することはもちろん、完成したら5つの項目を再度チェックしましょう。

なお、記載する際に、Aパターン、Bパターン、トラブル発生パターンなど、分岐する手順がある場合は、できるだけ手順を一本化することを検討してください。一本化が難しい場合は、フローチャートを使用して図式化することで視覚的に分かりやすくなります。また、例外的な手順は通常の手順と分けて記載することで、見やすさが向上します。

4. 手順書の仮運用・フィードバックする

手順書がある程度完成したら仮運用し、実際に手順書に沿って業務を行います。このテストがとても重要なポイントです。手順書が満足できる状態でなくても、なるべく早めに試してみましょう。実行して初めて分かることは少なくありません。いきなり本番で試すと現場が混乱する可能性が高くなります。一回で完成形を目指すより、複数回の運用を繰り返して改善していくほうが、結果として早く完成度の高い手順書に仕上がります。

仮運用した後は、現場のフィードバックを受けて、手順書の内容に反映させましょう。そうすることで、手順書を読む従業員にとって、分かりやすくて再現性の高い理想の手順書に近づきます。

5. 手順書は常にアップデートする

手順書は一度完成したら終わるものではありません。日々の業務や作業の変化、新製品・サービスの登場に合わせて、常に内容を修正・改善していく必要があります。運用していく中で、想定外の出来事が発生することも珍しくありません。例えば、機材のトラブルや担当者との認識のズレなどです。

こうした出来事が発生するたびに、必要な対策を立てて内容を更新しましょう。上記の例で考えると、機材の前日チェックやメンテナンスを手順に追加したり、分かりにくい文章を改善したりすることです。常に最適化を行うことで、手順書がより良いものに進化し、業務の品質向上にもつながります。

手順書作成の前には作業を洗い出し、構成を検討します。これによって作業の進行がスムーズになります。手順書が一定の完成度に達したら、現場で仮運用を行い、使用感を確認します。フィードバックを受けながら手順書をアップデートしていくことで、より良いものに進化させることができます。

手順書のスタート地点は完成後です。完成度が高い手順書でも、修正作業や更新がしづらいと運用と改善が滞り、使われなくなってしまいます。そのため、手順書の作成を行う際は、更新の容易も含めて作成方法を検討しなければなりません。

「作成した手順書をずっと使い続けたい」「手順書の更新を手軽に行いたい!」という方であれば、Teachme Bizの利用を検討してみてはいかがでしょうか。Teachme Bizはクラウド上で手順書を管理し、スマホやPC、タブレットなどお好きなデバイスから手順書を更新できます。Teachme Bizでできることや料金、セキュリティについて分かりやすくご説明した「5分で分かる概要資料」をご用意しました。


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手順書作成と同時に行うべき業務効率化

手順書作成の目的として、業務を効率化し生産性を上げることが挙げられます。当然ながら、生産性を上げる方法は手順書作成だけではありません。手順書作成と同時に、他の業務効率化を行うことも生産性の向上につながります。

業務のムダをなくする

業務効率化において、まず取り組むべきは業務のムダをなくすことです。会社全体の生産性を向上させるには、「業務量はそのままに個人の能力を上げる」「個人の能力はそのままにムダな業務を減らす」の2つの方法があります。

個人の生産性向上は、最終的に個々のモチベーションに依存することも多いため、コントロールが容易でないことが難点です。一方、ムダな業務の削減であれば、個人の意思に関係なく実行できます。「そもそも、この作業は必要あるのか」「どうやったら効率よくできるか」を考えて、不要な業務を減らしていきましょう。

業務は、多くの作業の塊から成り立っています。手順書を一通り作成することによって、業務内容の作業ボリュームを俯瞰的に見える化できます。それによって、ムダや改善ポイントが浮き彫りになり、業務を外部に委託する、RPA等で自動化するといった別の解決手段につなげることも可能になります。

労働時間を管理する

労働時間を管理することも、業務効率化に効果的です。生産性が低下する原因のひとつに長時間労働があります。長時間の労働は、作業効率の低下をまねくだけでなく、残業代や電気代などの経費の増大にもつながります。

さらに、働いている人の疲労やストレスがたまれば、ミスや事故・病気などのトラブルの原因にもなりかねません。労働時間を区切ることで「限られた時間でどう成果を出すか」「どうすれば業務を効率的に終えられるか」などの工夫をする余地が生まれます。長期的な視点に立ち、労働時間を短くすることも検討してみてください。こちらも、手順書によって可視化された作業内容をもとに、適正な労働時間を試算し無駄を省くなど、手順書から得られる副次的効果があります。

シングルタスクを心がける

シングルタスクとは、ひとつの作業にのみ集中することです。シングルタスクを実行することで、人はより高い集中力を発揮できます。一方、対照的なのがマルチタスクです。マルチタスクとは、一度に複数の仕事をこなすことです。このマルチタスクが生産性を下げる大きな要因と言われています。

脳内で一度に整理できる情報は限られています。そのため、複数の情報を同時に整理しようとすると、集中力が低下し、ケアレスミスや作業スピードの低下につながることもあります。メールの確認時間をあらかじめ決める、急用以外は話しかけないなど、ひとつの作業に集中できる環境を整えることが大切です。

ご紹介した業務効率化の方法やテクニックについて、手順書の活用と併せて取り組むことで相乗効果が期待できます。業務効率化については、以下の記事でさらに詳しく解説していますのでお役立てください。

参考:「業務効率化のアイデア10選 進め方と成功のポイントを解説」

マニュアルと手順書に違いはある?まとめ

マニュアル/手順書作成にあたるITツールの導入について

業務効率化にはITツールの導入も効果的です。書類の作成方法や管理方法などにITツールを導入するだけで、大幅な業務効率化につながるケースは少なくありません。本来必要な作業時間を短縮できるため生産性が向上することはもちろん、紙や印刷代などのコスト削減にもつながります。

今回紹介した手順書作成にもITツールの導入は効果的です。例えば、クラウド型のプラットフォームを使えば簡単にシンプルで分かりやすい手順書を作成できます。ツールの活用によって手順書の作成時間が短縮できるだけでなく、共有や活用の徹底を支援する機能が備わったサービスもあります。

手順書の活用が進むことで、業務品質が向上し、ミスやロス、手戻りが減る、残業時間を削減できるなど、大幅な業務効率化が期待できます。

Teachme Bizで手順書を作成する方法

「Teachme Biz」は写真やイラスト、動画、テキストを駆使することで、より分かりやすく、より業務効率化を図ることを可能にしたビジュアルSOPプラットフォームです。

SOP(Standard Operating Procedures)とは、具体的な作業や手順を作業ごとに順序立てて説明したものです。ビジュアルSOPプラットフォームを用いることで、テキストだけでなく画像や動画を効果的に使った「誰でも簡単に内容を理解できる手順書」を作成できます。

Teachme Bizを使った手順書作成の流れは以下の4ステップです。

  1. スマートフォンやタブレットで写真や動画を撮影する
  2. 説明文を入力する
  3. 伝わりやすくするために写真や動画にマーキングをする
  4. 手順書を公開・共有する

Teachme Bizは、クラウドでデータが同期されているため、改訂時もすぐに内容を更新でき、即座に現場へ伝えられます。

Teachme Bizの導入効果と効率化に成功した事例

Teachme Bizを活用することで、手順書作成時間が5分の1に削減、人材育成コストを50%削減、人材育成効率が2倍などさまざまな導入効果が報告されています。その他、効率化に成功した事例は以下の通りです。

Teachme Biz で効率化に成功した事例

企業 具体的な効果
小売A社 年間16,000時間の研修時間削減に成功した!
製造業B社 1日がかりだった手順書作成の時間が1時間に削減した!
飲食業C社 マニュアル作成の年間コスト(費用)を約50%削減できた!
不動産業D社 作業品質が均一化され顧客対応もスムーズになった!

Teachme Bizには5つの特許が実装されており、下記3つの機能に活用されています。

  1. 作成した手順書を必要な人に素早く届けプッシュ通知で知らせる機能
  2. 手順書のテキストや画像を閲覧するデバイスに合わせ自動的に最適化して表示する機能
  3. 撮影した動画の一部を、キャプチャ画像として切り出す機能

ユーザーメリットの高い機能が備わっているTeachme Bizについて、具体的な機能をお知りになりたい方はこちらをご覧ください。

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マニュアルは、上手く扱えば「単なる手順書」以上に大きな効果を発揮します。
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