ニュース

NHKのネット同時&見逃し配信「NHKプラス」機能詳細が明らかに。チャプタ再生も

NHKは20日、3月から試験運用開始する放送の常時同時/見逃し配信「NHKプラス」に関する説明会を報道関係者向けに開催。サービスの概要や利用画面を公開した。

NHKの池田伸子アナウンサーがサービスを説明。実際の使用感なども語った

1アカウントで5画面まで。遅延は約30秒

NHKプラスは、地上放送のテレビ番組を、インターネットで同時配信する「常時同時配信」と、それらの番組を放送後1週間いつでも見ることができる「見逃し番組配信」を組み合わせた新サービス。PCまたはスマートフォンのWebブラウザ、またはiPhone/Android向けアプリで視聴できる。なお、Internet Explorerでは利用できない。

NHKプラスアプリのアイコン

正式な開始は4月1日で、同時配信は毎日午前6時から翌日午前0時まで1日18時間程度実施するが、それに先立ち、3月1日から試行的にスタート。3月の段階では午前7時から翌日午前0時までの1日17時間程度配信する。放送の補完として実施するもので、受信契約者と生計を同一にする人は、追加負担なく利用できる。1アカウントで最大5つの同時ストリーミングが可能。

見逃し視聴画面例

サービス対象となるのは地上2波の総合テレビと教育テレビ。サービス開始時は、南関東エリア(埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県)を対象とした放送を全国に、放送と同時に配信する。また、見逃し番組配信は放送終了時刻から起算して7日間実施する。例えば大河ドラマの場合、前回の話数が視聴できるのは、次回分の放送(最新話の同時配信)が終了するまでの時間。

なお、同時視聴は放送から約30秒の遅延があり、その旨が注意事項としてあらかじめ表示。「緊急性が高い放送は注意が必要」としている。見逃し視聴中に、緊急ニュース(震度6弱以上の地震や、大津波警報など)があった場合は、自動で同時配信に切り替わるが、該当しない地域の人などは、手動で見逃しへ戻ることも可能。

1つの放送受信契約に対して、発行できるIDは1つ。1つのIDで、同時に5画面(ストリーム)まで視聴できる。事業所契約については、当面はサービス対象外になるという。

番組単位でネット配信の権利確保ができていないものは“ふたかぶせ”となり、ニュースは映像単位で“ふたかぶせ”となる。配信ビットレートは最大1.5MbpsのSD画質相当だが、回線の状況やアクセス集中などで変化する。

様々な方法で番組を探して視聴。画質は最高960×540ドット

番組の視聴方法としては、同時視聴のほかに、日付から番組を探す「配信カレンダー」と、番組名や出演者から探せる「キーワード」、NHKがカテゴリやトピックごとにまとめた「プレイリスト」を用意。

配信カレンダー
キーワード検索結果
プレイリスト

視聴中は30秒送り/10秒戻しが可能。同時配信の場合は画面右下の「LIVE」アイコンが赤に、見逃し視聴時は白で表示される。シークバーで任意の場所を指定して観ることも可能。

同時配信の画面
スキップなどのボタン表示

見逃し視聴時には「チャプター」も利用可能。一部のニュース番組で、特定の話題/シーンの項目名がリストアップされ、観たい部分をタップするとそこから再生できる。チャプターの生成はNHKが手動で行なうため、放送後、約1~2時間以降から利用可能になる予定。

見逃し視聴時は、チャプターで好きな場所から観られる。テキストをタップするとその部分から再生

ユニークな再生機能の「プレイリスト」は、「新型肺炎」や「野村克也氏」などのニュースのトピック単位や、「#10分で勉強」、「#ミュージック」、「#おやこで楽しむ」、「#エンタメ」などジャンル/カテゴリでまとめて番組を観られるもの。同じテーマについてのニュースの伝え方を番組や日付によって比較するなどの見方もできる。

解像度は、1.5Mbpsの場合は960×540ドット、768kbps時は640×360ドット、384kbps時は448×252ドット、192kbps時は416×232ドット。配信側で生成されたファイルが、回線品質に合わせて適切に切り替えて再生されるアダプティブストリーミング方式となる。ファイル形式はHLS(HTTP Live Streaming)とMPEG-DASH。

音声は2ch(二か国語、解説放送など)、字幕も配信。字幕は画面にオーバーレイするか、枠外に表示するかを設定できる。

画質設定
音声や字幕などの設定

放送番組のうち、配信でどれだけの割合が観られるかは、権利許諾などの関係で現時点では未定。連続テレビ小説「スカーレット」については、出演者全員の許諾済みのため視聴できるという。

なお、見逃し配信でのダウンロード対応については未定。また、番組を登録しておいて後で観るお気に入り機能などは現時点では非対応。ただし検索履歴は残るため、一度検索した後で観たい時にタップすると、期間内であれば観られる。

【お詫びと訂正】記事初出時、“映像を観ずに音声のみ聴くことはできない”と記載しておりましたが誤りでした。視聴しながらスクリーンセーバーなどで画面が消えても音声は停止しません。ただし、電源ボタンを押して画面を消した場合は、音声も停止します。お詫びして訂正します。(2月21日18時)

オンラインで申し込み後すぐ視聴開始

利用にあたっては、NHKの放送受信契約が必要。案内ページにPC、またはスマートフォンでアクセスするか、iPhone/Android向けにはアプリも用意する。なお、「テレビ一体型端末向けのサービスは当分の間実施しない」という。

案内ページやアプリから、メールアドレス、放送受信契約情報(受信契約者氏名、住所/※電話番号とお客様番号は任意)を入力。ログインID、パスワード、秘密の質問と答えを入力。この利用申込み直後から同時配信と見逃し番組配信を視聴できる。

受信契約の確認がとれ次第、契約住所にハガキが届き、その案内に沿って入力画面に確認コードを入力すると、利用登録が完了する。契約していない場合は、画面に契約の確認を促すメッセージが表示される(災害時などはメッセージが外れる)。

【お詫びと訂正】記事初出時、“確認コードを入力するまでは見逃し配信は視聴できない”と記載しておりましたが誤りでした。お詫びして訂正します。(2月21日18時)

利用方法の流れ

池田伸子アナ「視聴者層拡大に期待」。今後の改善要望も

説明会では、「ニュース7」などに出演している池田伸子アナウンサーが使用方法やサービスの概要を紹介。さらに、自身がこれまで試した感想なども語った。

池田伸子アナウンサー

サービス名であるNHKプラスの「プラス」については「NHKはこれまで多くの番組を放送してきたが、アプリを通して“プラス”の価値を発見していただきたい。これまで以上に、NHKの公共性の高い情報に触れる機会をプラスしてもらいたいという思いをロゴやアイコンに込めている」とした。

出演者の立場としては、「放送だと視聴者層が固定化されている印象も持っているが、NHKプラスはスマホを持つ人ならだれでもアクセスできるので、各世代へ視聴者層が広がることへ期待を持っている。普段、ニュースの放送時間がライフスタイルの中に入っていないという人も、今後観る選択肢の一つにもなるのでは」と語った。

一方で、期待を含めて今後機能向上して欲しい点については「キーワード検索機能で、ひらがななどでもヒットするように“あいまい検索”ができるようになれば。例えば(ドラマ)スカーレットの出演者が、別のインタビュー番組や、Eテレの対談番組にも出ている場合など、関連番組もよく観られるようになるのでは」とした。