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NECエレ、10万円以下のハイビジョンレコーダを実現するLSI
-3ストリーム同時録画対応。低価格レコーダ向けチップも


EMMA2RH(左)、EMMA2R-FE(右)

10月サンプル出荷開始


 NECエレクトロニクス株式会社は、DVDレコーダ向けのシステムLSI 2製品を開発し、10月よりサンプル出荷を開始する。

Platform OViAの構造

 ハイビジョン録画に対応したDVDレコーダ向けの「EMMA2RH」と、低価格DVDレコーダ向けの「EMMA2R-FE」が用意される。2006年初めの量産開始を予定しており、サンプル価格は「EMMA2RH」が20,000円、「EMMA2R-FE」が5,000円。

 ともに同社が提唱するアプリケーションプラットフォームの「Platform OViA」をベースにしており、同プラットフォームに準拠したOSや、基本ミドルウェアなどを同社が提供。さらに、仕様を公開し、ミドルウェアを各ソフトウェアベンダーが開発することで、ソフトの開発効率を高めていくとしている。



■ EMMA2RH

3番組同時録画に対応

 デジタル放送1ストリーム、アナログ放送2ストリームの合計3ストリームを同時録画できるハイビジョンレコーダ用システムLSI。同時録画の他にも、2番組同時録画中に、HDDからDVDへのムーブを行なうなど、様々なストリーム処理を1チップで実現できるという。

 同社が2003年9月に発売したHDTV用LSI「μPD61160」と、2004年3月に発売したDVDレコーダ用1チップバックエンドLSI「μPD61181」の機能を統合し1チップ化しながら、多くの機能を追加した。

 64bitのアプリケーションCPUとリアルタイムOS用の32bit CPU、デジタル放送向けのストリームプロセッサ、MPEG-2デコーダ、MPEGエンコーダなどを統合しており、合計12個のCPUコアを内蔵する。

 デジタル放送用受信とDVDレコーダの2つのLSIユニットを統合したことで、小型/低価格化のほか、基板実装面積を大幅に削減可能となった。従来、ハイビジョンレコーダでは主要LSIを含む8チップ構成となっていたが、EMMA2RHを含む4チップで構成可能になるという。

さまざまなストリーム処理をサポート 12個のCPUコアを内蔵 LSI統合によるメリット。実装面積も大幅削減

 また、ソフトを統合することで開発効率を大幅に向上できるほか、ストリーム処理も大幅に高速化。チップ内部でストリーム処理を行なうため、暗号化/暗号解除などの処理が不要となり、安定したストリーム処理が行なえる。チップ内で全ての処理が実行されるため、コンテンツのセキュリティ向上も図られている。

10万円以下のハイビジョンレコーダを実現

 さらに、ストリーム処理に最適化したシリアルATAインターフェイスを搭載。従来のATAインターフェイスと併用することで、3個のHDDとDVDドライブを同時に制御できるという。

 同社では、2006年の地上デジタル放送全国展開とワールドカップ開催に向け、ハイビジョン対応DVDレコーダの低価格化が進むと予測。2006年半ばには、普及価格帯の10万円以下に突入するが、EMMA2RHを利用することで、価格競争力のあるレコーダが開発できるという。

 なお、ブルーレイ/HD DVDなどの次世代光ディスク対応のレコーダについては、「デコーダの構成が変わるため、EMMA2RHを直接利用することはできない。ただし、OViAプラットフォームの採用で、EMMA2RHで開発したソフトウェア資産は、青色レーザーを利用したレコーダに継承できる(デジタルAVシステム事業部 板垣克彦部長代理)」という。



■ EMMA2R-FE

EMMA2R-FEの特徴

 記録型DVDドライブの駆動機能と、DVDレコーダのバックアンド機能を融合したDVDレコーダ用システムLSI。

 32bit CPUを2個搭載し、リアルタイム処理性能を向上させたほか、UMA(Unified Memory Architecture)の採用により、ディスクのリード/ライト用メモリと、エンコーダ/デコーダ、グラフィック処理用のメモリを統合し、システムコストの削減が可能となったという。

 また、DVDドライブ駆動制御機能の内蔵とATAインターフェイスの独立搭載により、高速ダビングに対応。2ストリームの同時処理が可能なため、タイムシフトや裏番組録画なども実現できるという。

 さらに、3次元Y/C分離回路やビデオデコーダも内蔵。DivX Videoのデコードや、プログレッシブ処理機能も備えている。


現在販売中の99ドルDVDレコーダより大幅に実装面積を削減 VHS置き換え市場を狙う

 NECエレクトロニクス 新津茂夫 第2システム事業本部長は、MPEG-2エンコーダで市場トップシェアの27%、レコーダ用のバックエンドLSIで20%という高い市場占有率を紹介。さらに、DVDレコーダ市場はホームサーバーに向けた高級機と、VHS置き換えの低価格機の2極化が進むと予測し、今回の新製品で「その両極を狙っていく」という。

OViAにより上位のミドルウェアを共通化

 また、アプリケーションプラットフォームの「OViA」についても解説された。OViAでは、ソフトウェアの階層化を図り、用途の異なる機器間での機能ソフトウェアの共通化を実現する。同社では、携帯電話用の「MPシリーズ」、デジタルAV機器向けの「EMMA」、カーナビ/次世代情報端末向けの「VRシリーズ」などを展開しているが、個別LSIやOS、基本ミドルウェアなどは、分野ごとに最適化したソフトウェアを用意。その上層のマルチメディア処理やネット接続機能のソフトウェアについては、共通化を図り、各ソフトウェアベンダーとも協力、ソフト開発の効率化を目指す。

 今後のレコーダ市場のシェアについては、「現在でも20%以上のシェアを獲得しているが、NECエレクトロニクス以上に積極的に開発に取り組んでいる企業はない。最低でも40%、できれば50%を目指していきたい」と語った。

□NECエレクトロニクスのホームページ
http://www.necel.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.necel.com/ja/news/archive/0507/0401.html

(2005年7月4日)

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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