どうやらポーランドにはまだ、民主主義のおもかげが残っているようです。ACTAに反対する抗議活動を受けて、政府の条約の報告担当者が辞任をしたそうです。サムライ式にで言う「切腹」です。潔くってかっこいいです。どこかの国で自らの地位に偏狂的に固執している政治家にもぜひ見習ってほしいところです。

 日本、アメリカなどでもTPPや現体制に対する反対活動が盛んに行われていますが、悲しいくらい政府は無反応。それどころかアメリカではそのような反体制運動に対して、過酷で独裁主義の国の様な法案をどんどん可決していっています。日本では、TPPや外国人参政権、原発、偏向報道に対する反対活動が行われていますが、大手メディアもあまりこのような活動を取り上げていません。反対派の意見を知ることができるのは、ほとんどがインターネット上に限定されています。しかも日本で現在政権についているのは、奇しくも「民主党」と呼ばれる政党です。民主主義の面影もありません。


 民主主義とは、「国民が国の政治の主権を持つものであり、政治家はその国民の代表者として、主権を持つ国民の意見をもとに政治を行うシステム」です。今の政治の状況は、その反対であるかのように見受けられます。


 国民の大半が政治に対して無関心だったら、政治家もやりたい放題してしまいます。ニュースを見て「おかしいぞ」と思っても、周りの人間がみんな興味なさそうで、買い物とか旅行とかの話ばかりだと政治の話をするのもはばかられてしまい、その内あまり話さなくなってしまうかもしれません。国民が政治に対して無関心で、自分には関係がなく無力であると信じていると、そんな状況は政治家にとっては好都合でしょう。その点で日本の教育は成功と言えるかもしれません。ただ、私が最近心配しているのは、このままの状況を黙認しているとそんなお気楽なことをやっていける社会自体がなくなってしまう可能性があるかもしれない、と思い始めたからです。

 そして、そのような最悪の状況を避けるために、今、軍隊もメディアも持っていない一般の国民が使うことのできる最大の武器は「情報(インターネット)」です。政府の都合のよい情報だけを一方的に受けるだけでなく、ネットがあれば情報を選択する自由があります。与えられた箱の外側から考えることができるようになります。


 また、今週、エジプト革命1周年記念の集会がありましたが(正確には依然として現体制の反対運動を行っているといった方が正確ですが)、RTはライブでその広場を終日、中継放送していました。私はその放映は、広場に集まった民衆に対して、現体制が無茶をしないように牽制をかけているように思われました。全世界が見ている前では、暴政というのはしにくいものです。情報を正しく使うと、「防衛」としても機能します。しかも暴力的ではなく、iPhone一つあれば誰にでもできることです。そもそも、アラブの春が勃発したのはFACEBOOKなどの国際的な個人メディアがあったおかげです。


 だからこそ、今になって各国の政府がインターネットに対して様々な方法で統制しようとし始めているように思われてしかたがありません。しかし、ほとんどのいわゆる「民主主義国家」には法律などで言論の自由が認められているはずです。最近のこの一連のインターネットに対する規制をかける動きから目が離せません。現存している民主主義を維持するにはインターネットの自由は重要なファクターです。なくしてしまってから回復するにはもっと大変になるでしょう。


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1月28日 【RT】http://rt.com/news/acta-poland-arif-resignation-931/
      【BBC】http://www.bbc.co.uk/news/technology-16757142

「ACTAへの怒り 当局者辞任で反対派に希望の光」
 
ポーランドで、著作権に関連した条約、ACTAに反対するデモに数千人が集まり激化する中、EU議会内でこの大論争を引き起こした条約を担当していたラポトゥール(報告者)が反対意志表明のために辞任した反対派は、この協定は単なる検閲に過ぎず、人権侵害であると批判している


金曜日に辞任したKader Arif氏は、この問題となっている著作権侵害に対抗する条約の草案作業が、政府関係者らによる「これまで類を見たことのないような術策」であると批判。
「市民社会との話し合いの場ももたれておらず、交渉の開始時から透明性に欠けており、説明もないまま条約への署名も何度も遅れており、何度も欧州議会決議で決定された提案が却下されている、というこの条約を署名までに導いた全体的なプロセスを、私は糾弾したいのです」


これはBBCの報道によるArif氏の発言だ。


デモ参加者にとっては、ワルシャワの過酷な寒い気候もデモを行わない理由には決してならないようだ。ポーランドで1週間に渡ったこの大衆による政治集会は、金曜の抗議行動によってクライマックスを迎えた。木曜にポーランド政府が当条約に署名したことにより、数万にも上るインターネットの検閲に対する抗議する人間が路上に引き寄せられることとなった


ACTAには、知的財産の保護という有益な目的が表明されているかもしれない。しかし路上に集まった人々は、ウェブサイトが検閲されたり、あるいは害のないサイトが閉鎖されるために利用されることを恐れている。


今週の大規模な反対行動とは趣が異なり、金曜の決戦の場となった集会では付帯的な政治的意味合いを明らかにしていた。反対派のほとんどが、ACTAに対する反対意志を表明していた一方で、政府に対する怒りを表明していた大群衆も活動してたのである。民衆による反対意志の規模が、政府機関を神経質にすることに成功した、と専門家らは言う。


「ポーランド政府は、近代化、若者、インターネットの支持を推進していた。また、国民も政府が説明責任を負うよう努力を払っていた。だから、政府がACTAを支持していることに国民が気づいた時は、『もう私たちは政府を信用しません』という政治的結論になったのだ。」とPanoptical FoundationのKatarzyna Szymielewicz 氏がRTに語った。


ACTAがポーランドで法律として認められるためには、ポーランドとEUの両方からの承認を必要とする。どれほどの時間を必要とするかは誰にもわからないことだが、反対派はそうならないように政府に対して圧力をかけ続けるという。


タスク大統領は、反ACTAの「脅迫」には絶対に屈しないと頑としてはねつけている。金曜日、彼は反対派のJaroslaw Kaczynski氏からのACTA協定に対する国民投票を行うべきだという要求を拒否した。しかし、開始当初は静かな社会的抗議運動だった動きが、集会が行われる毎に政治的により広がりを見せてきている。


ACTAは、知的所有権保護を目的にした国際条約である。ウィキピディアやGoogleが反対して一時的にブラックアウトし、その後国会議員たちによってお蔵入りとなったアメリカのSOPA法案と共通点が多い。


この条約は、知的所有権の偽造や窃盗に対抗する手段を見つけることに苦戦している先進工業国によって交渉されたものだ。アメリカ、EUのほとんどの国、オーストラリア、カナダ、日本その他複数の国がこの条約に署名を行っている


ACTAの反対者らは、署名を行った国は秘密裏にこの条約に同意しており、この条約によりインターネット上の言論の自由を限定するものであると批判している。