一仕事済んだこともあって、銀行に行ったり、いつまで経っても年金特別便が来ないので、名寄せに行ったりする。

一時の大騒ぎはどこに行ったのかと思うくらい、年金事務所は閑散としている。今は平日は暇なのだろう。しかし、一時は休日返上とか言っていたくせに、今や月に一度土曜日をあけるだけ、また平日も月曜日だけ7時まであけるだけで、仕事のある人が年金事務所に行くのはかなりハードルが高い。

結局、お役所仕事は変わらないようだ。

あと、昨日は、2か月以上、下手すると3カ月近くたまっている新聞の整理をする。

私の習慣として、新聞は捨てる前に面白い記事、ネットで検索してもうまくヒットしそうにないコマネタなどを切り取ってとっておくようにしている。それでさえたまって困っているのだが、こういうアナログなもののほうが、本を書く時などには使えるものだ。もちろん、スクラップになどしない。同じ場所にまとめておいて、気が向いたら読むだけだ。こういうものは時間をかけないことに限ると思っているからだ。

さて、その中で、記事になっていたことに気付かなかったものに、3月13日の読売の記事(よく考えたらその時期は日本にいなかった)で、2月の中学生の自殺報道について総務省が報道の内容の照会を求めるメールを送っていたことが判明したというニュースだった。

原口総務大臣がツィッターでWHOの自殺報道ガイドラインについて書きこんだので、役人が気を利かせて、自分の判断でメールで質問したということになっていて、当の原口氏は知らないと言っているという。

もちろん、テレビ局を傘下にかかえる読売新聞は、これについて批判的に書いている。報道への圧力だとのことだ。

報道への圧力とコメントしていたのは、明治学院大学の川上和久副学長だ。

この人は政治心理学が専門ということで、かつての北朝鮮報道をぼろくそに叩くなどのどちらかというと保守の人ではある。

ただ、一応、臨床ではないとはいえ、心理学を研究する人間が、しかもメディアリテラシーとか、被暗示性の問題を研究している学者が、自殺報道の被暗示性より、報道の自由のほうを重視するとは、そこまでテレビに嫌われたくないのかと言いたくなる。

世界中の先進国で、大マスコミが自殺報道のガイドラインを守っていない国は日本くらいだ。

報道が自殺を誘発することは、統計学的にも証明されている。一般の人には影響がないかもしれないが、うつ病の人で死にたいと思っている人に後を押す効果があるからだ。

日本のうつ病患者は少なく見積もって400万人。現時点で死にたいと思っている人は少なく見積もってその1割。4、50万人の人が死にたいと思っている。その時に運悪く、ガイドラインに抵触するような自殺報道を見るか、見ないかで決行するかどうかが決まってしまうことがある。少なくとも見ていなければ、その日には(将来はわからないが)死んでいなかったのにということは珍しくないのだ。

中学生の自殺などははさらにそれがはっきりしている。

昭和60年に中野の中学生いじめ自殺事件の大報道があった際に、前年の自殺者数79人が110人になった。4割も増えたのだ。報道がやんだ翌61年は自殺が半減して54人になっているというのに。

平成6年11月の名古屋の恐喝いじめ自殺も大報道だった。そして、このときはなんと中学生の自殺が前の年と比べて7割増えた。事件が11月の末だったため、翌年も報道が続いて自殺は減らなかったが、それが沈静した平成8年には平成5年のレベルにまで自殺が減った。

WHOも国連も報道のガイドラインを出しており、日本は先進国一の自殺大国なのに、それを守っているかどうか、問い合わせる程度で、なんで報道への圧力と言われないといけないのか?

中学生であっても自殺は自己責任で、人殺しの被害者だけが被害者なのか?3人子供が死んだら、日本中で、前日の酒が残っているだけで懲戒免職になるような飲酒運転の厳罰化を促しておいて、何十人もの自殺を誘発するような報道は、問い合わせるだけでこのレスポンスはなんだ?

ガイドラインを作ることが報道に対する規制と言うが、実はテレビは電波法で、きちんと報道番組を何%、教育番組を何%やるという条件で認可を受けている。もちろん総放送時間に対するCMの時間も決まっている。法律に触れなければ(たとえばわいせつ画像を流すなど)、何をやってもいいのが、公共放送とはとても思えない。たとえば今のトヨタの財力ならすべてのテレビ局が買えるだろうが、1日中、トヨタの車がいい車だと知らせるようなドラマやバラエティを流して許されるのか?

そもそも原口という人も人の命とテレビ局に嫌われないこととどっちが大事なのかを真剣に問いたい。

確かに、民主党の支持率がどんどん下がっていくことにテレビの影響を感じない人はいないだろう。

アメリカとの約束は絶対守れ、期限は絶対守れ、でも、沖縄の人間は可哀そうだ、最後はもとの場所に戻るのは公約違反だ。

ダブルバインド、トリプルバインドではどうやって政治をやっていいのか、今の首相でもわからないだろう。(もちろん頼りないところがあるのは事実だが)

マスコミの思う通りの政治をやらないとコテンパンにたたきのめし、学力低下の国民がそれに追随する。なんというプロパギャンダ国家。ナチスの宣伝省も真っ青だ。

ただ、頼りないとはいえ今の民主党も、いろいろな事情があるとはいえナチスも、一応は選挙で選ばれている。

選挙で選ばれてもいないマスコミの人間、テレビ局の人間が、ここまで政治に介入していいのか、あるいはガイドラインすら守らなくていいのか?

テレビが変われば年間で万単位の命が救えるという話をきちんとしたデータをもとに書き進めている。

乞、ご期待。