小蝠兄さんのお葬い。

お棺に眠ってる
兄さんの顔を見ても
信じられないような、
落語と寄席が大好きな兄さんの
気持ちを思うと
逝くのがあまりにも早すぎて
何ともやるせない、
寂しさと悲しさと虚しさと…

どうにも
整理がつかないです。

今は、
小蝠兄さんを偲んで
何か書くこともできないです。

でも、
とてもあたたかいお葬いでした。

だから、
兄さんへの今日の気持ちを忘れたくないので
お葬いのことだけ書きます。

落語と寄席と、
かつては同じ前座仲間だった女将さんが
大好きだった兄さん。

本名でなく「柳家小蝠」という噺家として、
大好きな先の文治師匠と一緒に撮った写真と、
敬愛する蝠丸師匠のあたたかい言葉と、
女将さんの包むような大きな心と、
ご一門、たくさんの仲間、お客様方に見送られ、
出囃子と共に
まるで高座に上がって行くような
そんなお葬いでした。

アメリカンドッグが大好きで、
家のすぐ近くのファミリーマートでは、
アメリカンドッグが
出来上がる時間になると現れるというので
バイトの間では
「ドッグ」と呼ばれていた兄さん。

立川流から文治門下、
文治師匠が亡くなってからは蝠丸門下へ。

十数年間の長い前座生活を送った兄さんには
たくさんの同期がいます。

前座生活を共に過ごす仲間には
お互い格別の思いがあります。
だから、
兄さんにはたくさんの前座仲間がいます。

アメリカンドッグが
大好物だった兄さんのために、
兄さんのお棺には
お花とたくさんのアメリカンドッグが
入れられました。

兄さんの
まるですぐにでも起きそうな
寝てるだけみたいな兄さんの顔の周りには
アメリカンドッグがいっぱい並んで
涙と笑いと…
いかにも芸人らしいお葬いでした。

芸人のあり様にこだわりがあり、
飾らない、
人間味に溢れた、
照れ屋で寂しがり屋で
感謝深い
あたたかい心の兄さんにぴったりの
いいお葬いでした。

それでも
やっぱり寂しいです。