07年8月、名古屋市千種区の派遣社員、磯谷利恵さん(当時31歳)が闇サイトを通じて集まった男3人に殺害された事件で、強盗殺人などの罪に問われ、1審で死刑判決を受けた堀慶末被告(35)と無期懲役判決の川岸健治被告(43)の控訴審公判が3日、名古屋高裁(下山保男裁判長)であった。検察側は残虐性などを指摘し、改めて両被告の死刑を主張。弁護側は計画性を否定し、堀被告を無期懲役、1審で自首が認められた川岸被告を有期懲役刑に減軽するよう求めて結審した。判決は来年3月25日。
検察側は、弁護側が行った両被告の犯罪心理鑑定について「良心の呵責(かしゃく)から自首したという川岸被告の言葉をうのみにしたに過ぎない」と信用性を否定。「遺族の処罰感情も峻烈(しゅんれつ)で、最大限考慮されるべきだ」とした。
一方、川岸被告の弁護人は、殺害された被害者の数など死刑適用の基準を示したとされる「永山基準」に言及し「自首を除いたとしても永山基準に従えば死刑選択は許されない」と主張した。
堀被告の弁護人は「改悛(かいしゅん)の情が顕著で、無期懲役で罪を償う機会を与えてほしい」と訴えた。弁護人は堀被告に最後の発言の機会を与えるよう裁判長に求めたが、認められなかった。
傍聴した磯谷さんの母富美子さん(59)は「遺族にとって死刑は大きな意味がある。私たちの願い通りの判決を下してほしい」と語った。 |