初場所は稀勢の里が「綱取り場所」になるという。先週終わった九州場所で白鵬、日馬富士両横綱を連破し13勝2敗。場所後の横綱審議委員会では、例によって「13勝以上の優勝なら昇進」と条件が提示された。
横審の昇進内規は、いうまでもなく「大関で2場所連続優勝、もしくはそれに準ずる成績」である。九州場所は横綱2人に勝ち、日馬富士の14勝1敗の優勝に星一つ差の13勝だから「準優勝」とみなし、初場所は13勝以上の優勝で昇進、という理屈だ。
一時期、横綱ほしさに「準ずる成績」を拡大解釈しすぎて優勝経験なしでもなった双羽黒のように、いい加減な横綱も生まれていた。それではいかんと、平成以降はすべて「2場所連続優勝」で昇進している。
日本人横綱がノドから手が出るほど欲しいのはわかるが、稀勢の里にはいつも甘いラインが設定される。それでもクリアできないのが、もどかしい。
夏場所は初日から13連勝し久々の日本人優勝へ大いに盛り上がったが、白鵬、琴奨菊に連敗し13勝2敗に終わった。全勝優勝の白鵬とは星2つ差で準優勝でもなかったのに、北の湖理事長(元横綱)や横審は次の名古屋場所で「13勝以上の優勝」と大甘のラインを設定したものだ。
結局、名古屋は11勝止まりで理事長は「12勝なら秋場所につながったのに」とため息をついたものだが、13勝だ、12勝だと軽々しく口にしすぎる。
大体、横審が昭和25年に決めた「大関で2場所連続優勝」が今の時代にマッチしているのか。2場所連続優勝は横綱ならともかく、大関では至難の業だ。