朝鮮半島の緊張が「異次元」の領域に達しつつある。北朝鮮は29日早朝、今年12発目となる弾道ミサイル1発を発射し、新潟県・佐渡島から約500キロの日本の排他的経済水域(EEZ)内に撃ち込んだ。一歩間違えば、日本の船舶や航空機に被害が出ていた。ドナルド・トランプ大統領率いる米軍は6月以降、世界最強の3つの空母打撃群を北朝鮮近海に集結させる。「1953年に朝鮮戦争が休戦して以来、最大の危機」と断言する識者もいる。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の狂気の挑発に対し、米国は軍事行動を決断するのか。
「北朝鮮が、国際社会の度重なる警告を無視して挑発を続けていることは断じて許すことができない。北朝鮮に厳重に抗議した」「国際社会と連携しながら高度な警戒態勢を維持し、国民の安全確保に万全を期していく」「北朝鮮を抑止するため、米国とともに具体的な行動を取る」
安倍晋三首相は29日早朝、官邸で記者団にこう語った。政府は、国家安全保障会議(NSC)の関係閣僚会合を開き、対応を協議した。
北朝鮮は日本時間同日午前5時40分ごろ、同国東部・元山(ウォンサン)付近から弾道ミサイル1発を発射し、新潟県・佐渡島から約500キロ、島根県・隠岐諸島から約300キロにある日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下させた。船舶や航空機の被害の情報はない。
米太平洋軍や韓国軍合同参謀本部によると、短距離弾道ミサイル「スカッド」か、中距離弾道ミサイル「スカッドER」とみられ、約6分間、約450キロ飛行した。
イタリア南部シチリア島のタオルミナで先週末、先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)が開かれた。安倍首相は「核・ミサイル開発」を強行する北朝鮮を強く非難し、トランプ氏と連携して、首脳宣言に「北朝鮮は新たな段階の脅威」との文言を明記させた。