『日本書紀』に「曇徴は絵の具や紙墨をよく作った」とあり、それが『書紀』では「紙」の初出だから、曇徴が日本に紙漉きを伝えたと、かつて言われたが、考証学の研究から否定されている(日本は4世紀か5世紀には紙を作っていた)。
韓国には伝統の韓紙(ハンジ)があるが、そもそも壁紙用、床貼用であり、繊維がゴツゴツしていて分厚い。字を書いたり、絵を描いたりする紙は中国からの輸入品で高価だった。それよりも日本の和紙の方が、品質が良かったので、李氏朝鮮の世宗(セジョン)大王は日本に行く朝鮮通信使に「和紙の製造法を調べてくるように」と命じている。結局、薄くてきれいな紙は、日本統治時代まで朝鮮半島では作れなかった。
日本の折り紙は平安時代にはあったことが文献史料で確認できるが、朝鮮半島では100年ほど前まで「チョンイ・チョップキ」を楽しめるような紙事情ではなかった。
しかし、韓国のメディアは「わが国の折り紙の歴史は、三国時代(4世紀から7世紀)まで遡(さかのぼ)る」(聯合ニュース、15年11月23日)といった関係者の話を伝えて、はしゃいでいる。
■室谷克実(むろたに・かつみ) 1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。時事通信入社、政治部記者、ソウル特派員、「時事解説」編集長、外交知識普及会常務理事などを経て、評論活動に。主な著書に「韓国人の経済学」(ダイヤモンド社)、「悪韓論」(新潮新書)、「呆韓論」(産経新聞出版)、「ディス・イズ・コリア」(同)などがある。