歴史的に見ると、中国と韓国が抱える「経済の問題」の本質は酷似している。すなわち、グローバリズムである。両国ともにグローバリズムにビルトインし、中国では共産党官僚や太子党(共産党高級幹部の子弟)が、韓国では財閥企業の一族が、国民(中国の場合は人民)から所得を吸い上げる「トリクルアップ」構造が完成している。
特に、中国の場合は民主主義が存在しないため、人民は政治的に状況を改善することはできない。請願や陳情、賄賂を駆使し、人民は環境破壊や汚職、収奪といった問題に立ち向かおうとするが、結局はどうしようもなく、暴動に至る。厄介なことに、中国のノーメンクラツーラ(赤い貴族)たちには「国民意識」が皆無だ。彼らはまるで植民地に降り立った宗主国国民のごとく、人民から容赦なく所得を奪い、ひと財産を築き、家族とともに安全な外国に移り住む。
韓国の場合は、民主主義は存在しているものの、とにかく財閥企業の影響力が大きすぎる。何しろ、2012年の韓国10大財閥の売上高の合計は、同国のGDP(国内総生産)の75%を上回ってしまったのだ。韓国における財閥企業は、いわば李朝時代の両班(貴族)だ。韓国の子供たちは、貴族階級にはい上がるために、苛烈な受験地獄、就職戦線を戦い抜く。とはいえ、サムスン電子に入社できるのは、応募者の700人に1人に過ぎない。
しかも、首尾よく財閥企業に入社できても話は終わらない。今度は社内のライバルたちと「役員」という地位を目指した競争が始まる。韓国の財閥企業では、45歳くらいまでに役員に出世できなければ、肩たたきされる。すなわち、リストラだ。