結婚相談所など結婚情報サービスのCM解禁が日本民間放送連盟(民放連)で検討されている。早ければ今年秋にも解禁されるとの観測も。新たなCM提供元が欲しいテレビ局だけでなく、若手女性タレントの出演が期待できる芸能プロダクションも事の成り行きを見守っている。
文化通信によると、民放連は今年11月から結婚情報サービス業のCM放送ができるよう検討しているという。結婚紹介業には楽天やイオンなど大手企業の系列会社も多く、CM出稿の増加や活性化が期待されるとしている。
結婚相談所などのCMがなかったのは、民放連が定めているCMに関する自主規制による。放送基準109条には、「私的な秘密事項の調査を業とするものは取り扱わない」と定めており、これを受けて放送局は結婚相談所や探偵業、調査会社などのCMは放映していない。今回、この条文を見直すことで、結婚情報サービス業を対象外とする見通しだ。
結婚情報誌のCMはあったが、かねて結婚紹介業側だけでなく経済産業省もCM解禁を求めていた。「政府が少子化解消対策を掲げている流れの中、結婚を後押しする一助になれば、ということもあるようだ」(テレビ誌編集者)。
現在、結婚情報サービス業は主に雑誌やネットに多くの広告を出稿している。「最近、ごく一部だが、生活用品や自動車メーカーなどの分野でテレビCMの出稿見直しを始めた大手企業が出始めた。全体的にまだCM出稿は高いレベルだが、結婚情報サービス業はPRが重要視される業種だけに、テレビCM解禁となればキー局を中心にひと息つける」と広告代理店関係者は解説する。
芸能プロダクション側も期待している。「若手女性タレントの起用が確実なCM。出稿量も多くなればそれだけ契約料も高いし、タレントの認知度も上がる。もっとも、所属タレントの恋愛管理には今以上に注意が必要となるが」(中堅の芸能事務所幹部)
CMでは1993年に銀行など金融機関が、2009年にはパチンコが解禁となり、徐々に自主規制が緩められてきた。最後に残った大型案件といわれる結婚情報サービス業のCMは、ネットに押されつつある放送局の起死回生の妙薬となるか。