はたけんじ、モノマネ芸のパイオニア

2010.08.03


42年のモノマネ歴はダテじゃない。はたさんは昔も今も引っ張りだこ【拡大】

 「モノマネのレパートリーですか? 歌手だと北島三郎、五木ひろし、俳優なら石原裕次郎、加藤茶、田村正和、政治家だと田中角栄、大平正芳…。まあ100人は固いんじゃないの。ただ最近の政治家はインパクトがないから、モノマネの対象としては難しくなっちゃったね」

 芸能生活42年。モノマネ芸のパイオニアの1人は、今も最前線に立つ。

 「68年にデビューして、すぐにボクと堺すすむ、亡くなった佐々木勉で“モノマネ御三家”なんて言われてテレビに出ずっぱりだった。同じ太田プロには若人あきら(現・我修院達也)もいて、お互いに刺激し合って芸を磨いたものです」

 はたさんといえば、何と言っても『三波春夫でご座います。“お客様は神様です”』の名フレーズ。三波本人も、しばしばステージで使い客席を沸かせたものだが、実はそもそもギャグとして考案したのは、はたさん。

 「(立川)談志師匠が『三波さんがショーの際に“お客様は神様でございます”って言って、それが大ウケらしいよ』て教えてくれたんです。それで、『でございます』を『です』とスパッと言い切ることにして演じてみたら、今度は獅子てんや・瀬戸わんやさんが、『右にも左にもお客さんがいるんだから、そっちへ歩いてって挨拶するともっといい』ってアドバイスしてくれて、ネタができたんです」

 それが流行語にもなり、はたさんの名は全国区に。73年にはフジサンケイグループ主催の『放送演芸大賞』の部門賞も受賞した。

 「先輩ってのはありがたいものです。プロですから、指摘が的を射ていて鋭い。最近は自分の出番が終わったら、サッサと帰る若手芸人がほとんどだけど、それじゃ腕は上がんない。先輩の芸を見てテクニックを学ばなきゃ」

 振り返れば、いつしか消えた芸人仲間は多い。

 「朝起きたら、すぐに録画しながらワイドショー見るのが日課です。ニュースをいくつかピックアップしといて、ステージに上がったときに客席を見て、客層に合わせた時事ネタを振るようにしています。ネタも鮮度が命。毎日、仕込みをしてるから生き残れたんじゃないのかなあ」

 口癖は「日々精進」。62歳の今もステージに立てる秘密である。

 ■はた・けんじ 1948年2月21日、東京都江戸川区生まれ。小学生の頃からモノマネが得意で、60年代後半に人気だった素人モノマネ番組の常連に。フジテレビ系の『しろうと芸能大賞』に優勝したことがきっかけで68年、太田プロから芸能界デビュー。73年、『三波春夫でご座います。“お客様は神様です”』のフレーズがブレーク。78年にリリースしたコミックソング「演歌ペッパー警部」も話題に。その後も実力派漫談家として人気を誇る。

 

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