横綱審議委員会の会合が27日、東京・両国国技館で開かれ、内山斉委員長(78=読売新聞グループ本社顧問)は初場所14勝1敗で優勝同点とした大関鶴竜(28=井筒)について言及。「鶴竜は快進撃。いよいよ綱取りがかかるのでは。春場所(3月9日初日、大阪府立体育会館)で優勝すれば、審判部から(推薦が)上がってくる期待がある。悪くても13勝での優勝」とし、綱取りになるとの認識を示した。

 角界内には大関11場所のうち7場所で10勝未満であることから、慎重論がある。一方で、大関稀勢の里(27=田子ノ浦)に対して綱取りの条件を大幅に緩和した以上、再び厳しくはできない事情もあるのだ。

 稀勢の里のケースでは昨年夏場所で13勝。全勝Vの白鵬とは2差にもかかわらず「優勝に準ずる成績」と認定した。九州場所は8日目までに2敗を喫して優勝争いから事実上の脱落。両横綱を破っての13勝で再び“準V”と認定した。

 今場所の鶴竜は千秋楽まで優勝争いをした上に、本割で白鵬を撃破。しかも、14勝の好成績での「優勝同点」。1場所の成績だけなら、どこを取っても稀勢の里の過去2度の綱取りを上回る。ここで綱取りを否定すれば「公平性」が大きく損なわれてしまうというわけだ。

 和製横綱を誕生させるための措置により、鶴竜が“恩恵”を受ける可能性が出てきた。