プロバイダ責任制限法の概要

TAINS利用研究会 ネットワーク法律問題研究グループ 金谷吉成

1 はじめに

 近年のインターネットの一般社会への普及により,個人レベルでのグローバルな情報発信が可能となったほか,さまざまな社会活動・経済活動の利便性が著しく向上したことは,今更取り立てて述べるまでもないことです。大学においては,研究教育活動の基盤として,すべての学生・教官・職員がインターネットを活用し,インターネット利用者間での情報交換,研究成果の公表,市民への情報公開などに役立てています。しかしその一方で,インターネット上には,他人の名誉を 毀損 きそん したりプライバシーを侵害したりする情報や,著作権を侵害する情報,コンピュータウイルスなどの有害な情報が流通していることも事実です。

 違法な情報,有害な情報によって被害を受けた者は,基本的には情報の発信者を相手取ってクレームを付けたり情報の発信を止めさせたり,延いては損害の賠償を求めたりしますが,インターネットの持つ匿名性や情報 伝播 でんぱ の迅速性とそれに伴う被害拡大の危険性に かんが みると,インターネット・サービス・プロバイダや電子掲示板の管理者が何らかの対応が可能であり,また社会的にも適切な対応をなすべきことが期待される場面も少なくありません。

 しかし,特に情報の流通を媒介するだけのプロバイダにおいては,検閲の禁止あるいは通信の秘密保護の点から言っても,またネットワーク上を流れる膨大な情報を逐次チェックすることの困難さから言っても,プロバイダに過度の責任を認めることには疑問が持たれます。プロバイダに過度の責任を認めることは,インターネットへの入り口やコミュニケーションの場を提供するプロバイダの活動を不当に委縮させ,高度情報社会の発展にとってもマイナスとなりかねないからです。更に,プロバイダと被害者およびプロバイダと発信者との関係では,プロバイダは違法とされる情報を削除しないことによって,被害者からはプロバイダの不作為を理由に不法行為または債務不履行による損害賠償責任を求められ,逆に違法とされる情報を削除することによって,発信者からはサービス提供義務違反や不法行為による損害賠償責任を求められるなど,プロバイダが両者の間で板挟みとなってしまう問題がありました。

 このような背景の下,昨年11月30日に「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」(以下「プロバイダ責任制限法」とします)が公布され,プロバイダの責任の制限と発信者情報の開示について立法的な手当てがなされました。この法律は,2002年5月末までに施行されることとなっています。

2 プロバイダとは

 一言にプロバイダと言っても,その言葉の意味は多種多様です。狭義には電気通信事業法上の電気通信事業者を指すこととされていますが,インターネットへの接続機能を提供するという意味では,大学もまたプロバイダ的な役割を担っていますし,インターネット上でのサーバやディスクのレンタルサービスを行う業者を指してプロバイダということもあります。

 本法にいう「特定電気通信役務提供者」はこれより更に意味が広く,サーバやディスクなどの設備を提供する者のほか,不特定の利用者を相手にホームページや電子掲示板を開設してサービスを提供する者までをその対象としています(2条3号)。例えば,大学において学生が研究室のホームページに電子掲示板を設置した場合,研究室のサーバ管理に責任を持つ職員,ネットワーク設備を管理する大学や部局が,プロバイダとして本法の適用を受けることになります(図1)。


図1:プロバイダの多様性

 なお,日本のプロバイダであってもサーバやディスクが海外にある場合,逆に海外のプロバイダで日本にサーバやディスクがある場合,プロバイダもサーバも海外にある場合など,準拠法(どこの国の法律が適用されるか)や裁判管轄(どこの裁判所で裁判を受けられるか)の問題は,インターネットにおいては特に注意しておきたいところです。

3 プロバイダの責任の制限

 プロバイダ責任制限法が成立する前は,民法の不法行為法によってプロバイダの責任が論じられてきました。つまり,「プロバイダによる(違法)情報の媒介がなければ,権利侵害は起こり得なかった」という関係を基礎として,プロバイダに条理上の削除義務を認める場合があり得るのではないかという議論です。これに関しては既にいくつか判例がありますので,ここで極簡単に見ておくことにしましょう。

(1) ニフティサーブ「現代思想フォーラム」事件
 パソコン通信ニフティサーブの「現代思想フォーラム」において,フォーラムの参加者であった原告Xが,別の参加者Yによってなされた発言によって名誉を毀損されたとして,Y,フォーラムの管理者であるシスオペ,フォーラムの主催者であるニフティを提訴した事件です。

 第一審の東京地裁平成9年5月26日判決(判時1610号22頁,判タ947号125頁)は,Yの発言は名誉毀損にあたるとした上で,「当該シスオペには…(中略)…その者の名誉が不当に害されることがないよう必要な措置をとるべき条理上の作為義務があったと解するべきである」として,シスオペの不法行為責任を認めるとともに,ニフティに対しても使用者責任に基づく不法行為責任を認めました。

 これに対して,控訴審の東京高裁平成13年9月5日判決(判例集未登載)は,Yの発言は名誉毀損にあたるとしてYからの控訴は棄却。シスオペの責任については,原審が述べるような条理上の削除義務は認められるものの,フォーラムが思想について議論することを目的としていること,発信者に自主的な削除を求めていること,原告弁護士から削除要求を受けた発言について削除を行っていることから,削除権限の行使が許容限度を越えて遅滞したとは言えないとして,シスオペおよびニフティの不法行為責任を否定しました。

(2)東京都立大学事件
 東京都立大学の学生である原告Xらと被告Yとの間の争いに関係して,被告Yが,大学内のサーバに設置された自己のホームページに,XらグループがYのグループの学生に暴力を振るい傷害を与えたという趣旨の文書を掲載したため,Xが,Yと東京都を相手取って損害賠償の支払いと謝罪広告の掲載を求めた事件です。

 東京地裁平成11年9月24日判決(判時1707号139頁)は,Yによるホームページへの掲載を名誉毀損にあたると判示しましたが,ネットワーク管理者が被害者に対して責任を負う場合について,「(当該文書が)名誉毀損に該当すること,加害行為の様態が甚だしく悪質であること及び被害の程度も甚大であることなどが一見して明白であるような極めて例外的な場合に限られる」として,大学の不法行為責任を否定しました。

 このように,判例はプロバイダに対して条理上の作為義務があることを認めていますが,例えば被害者からクレームを受け取ったときには発信者に遅滞なく連絡し,当事者間での話し合いによる解決を図り,さらに侵害が明白であるような場合は被害が拡大しないような措置を講ずるなど,プロバイダとして誠実な対応を取りさえすれば,プロバイダは不法行為責任に問われないものと言えます。ただし,特にネットワーク上でのある意味バーチャルなコミュニケーションでは,お互いの真意が伝わりにくいため, 些細 ささい なことから大きな紛争になってしまうことも少なくありません。そうなると,本当に名誉毀損や侮辱的な発言があったのか,プライバシー侵害や著作権侵害があったのかなど,プロバイダにとって微妙な判断を求められることもあるため,必ずしも十分な法的知識を持っているとは限らないプロバイダに過度の責任を求めるのは酷であるようにも思われます。


図2: プロバイダの責任の制限

3.1 被害者に対する責任の制限

 プロバイダ責任制限法では,プロバイダの提供するネットワーク設備あるいは電子掲示板等における情報の流通によって権利の侵害が生じたときでも,技術的に削除することが可能であって,以下の(1),(2)のいずれかに該当するときでなければ,プロバイダに責任はないこととされました(3条1項,図2の左側部分)。

  1. 他人の権利が侵害されていることを知っていたとき
  2. 情報の流通を知っていた場合であって,当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるとき
 被害者(侵害されたと主張する者)から削除の申出があった場合でも,プロバイダとして誠実に対応し,権利侵害はなかったと判断して削除を行わなかったときは,判断に過失が認められない限りにおいて,被害者に対する責任を免れるということになります。ただし,プロバイダが侵害情報の発信者である場合(例えば,第三者から寄せられた情報を自己のホームページに掲載するような場合)は,プロバイダが発信者としての責任を負うことになります(3条1項但書)。

3.2 発信者に対する責任の制限

 発信者に対する責任では,プロバイダが情報の削除を行ったことによって発信者に生じた損害については,削除が必要な限度を越えるものでなく,以下の(1),(2)のいずれかに該当するときは,プロバイダに責任はないこととされました(3条2項,図2の右側部分)。
  1. 他人の権利が不当に侵害されていると信じるに足りる相当の理由があったとき
  2. 自己の権利を侵害されたとする者から侵害情報を削除するよう申出があった場合,プロバイダは発信者に対して削除に同意するかどうかを照会して,7日を経過しても削除に同意しない旨の申出がなかったとき
 侵害情報を削除することによって,プロバイダは,発信者から表現の自由やサービス提供を受ける権利を理由にクレームを受ける可能性があります。プロバイダは,被害者からの申出と,反論がなければ削除する旨を発信者に通知し,7日 っても反論がなければ削除するといった一定の手続き(ノーティス・アンド・テイクダウンといいます)を踏むことで,このような発信者からのクレームに対処できることになります。

 なお,上記手続きを踏みさえすれば,権利侵害の有無にかかわらず削除が可能であるため,プロバイダは微妙な判断を回避することができるのですが,一方で発信者から同意しない旨の回答があったときにどうするか,発信者への通知において到達性が保証されない電子メールを使用してよいかなどの問題もあります。また,著作権侵害など侵害情報の送信を続けることによる被害が大きい場合や,脅迫のように緊急性を要する場合において,7日という規定が本当に妥当と言えるのかも疑問です。

3.3 ノーティス・アンド・テイクダウン (Notice and take down)

 ノーティス・アンド・テイクダウンの制度は,米国の「デジタル・ミレニアム著作権法 (Digital Millennium Copyright Act)」を参考にしたものとされています。しかし,米国 DMCA では,著作権者からプロバイダに対して著作権侵害の通告があった場合,プロバイダは当該侵害情報を削除した上で発信者に通知し,それに対して10日以内に発信者からの異議申立があった場合は,著作権者がそこから更に10〜14日以内に発信者を提訴しなければ,侵害情報を再掲載することとされています。

 米国 DMCA では,一度削除してから発信者の反論によって復活するのに対して,日本のプロバイダ責任制限法は,発信者からの反論がなければ削除するという制度になっており,その手続きは全く異っています。米国のノーティス・アンド・テイクダウン制度が著作権侵害に限られるのに対し,日本のノーティス・アンド・テイクダウン制度が名誉毀損やプライバシー侵害までを含むものであるため,同列に論じることはできませんが,被害者に対する迅速な救済,侵害されたと主張する者が実際の被害者であることを訴訟手続きにより担保するなど,米国の制度には日本の制度に見られない優れた点があるように思われます。

4 発信者情報開示請求権

 被害者は,加害者がだれかわかっていれば,その者に直接クレームを付け,また訴訟を提起して損害の賠償を求めたり情報発信の差し止めを求めたりすることができます。しかし,インターネットでは情報の発信者が不明であることも少なくなく,またプロバイダにおいては通信の秘密の保護を守る立場から発信者情報の開示ができないため,被害者にとって情報発信者の特定が非常に困難な状況でした。発信者がわからないと,被害者は裁判に訴えることすらできなくなるため,プロバイダに対して発信者情報の開示が請求できるかが問題となりました。  これに対し,プロバイダ責任制限法では,被害者が以下の(1),(2)のいずれにも該当するときに限り,プロバイダに対し発信者情報の開示を請求することが可能となりました(4条1項,図3)。

  1. 開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき
  2. 損害賠償請求権の行使のために必要である場合その他発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき

図3:発信者情報の開示請求

 開示の請求を受けたプロバイダは,発信者と連絡が取れないなどの特別の場合を除き,開示するかどうかについて発信者に連絡して意見を聴いた上で(4条2項),被害者に発信者情報を開示しあるいは開示しないことになります。なお,開示に応じない場合,開示に応じないことによって被害者に生じた損害については,故意又は重過失がなければ,プロバイダは責任を負わないこととされています(4条4項)。

 しかし,ここで定められた発信者情報開示請求権については,開示の請求をする者が本当の被害者なのか,権利侵害が明らかであることが開示請求の要件とされているが,プロバイダにそのような微妙な判断を求めてよいのか,といった疑問が持たれます。また,開示に応じることとした場合,被害者に対しては発信者情報の濫用を禁止する規定(4条3項)が設けられていますが,発信者に対しては,開示によって発信者に生じた損害についての免責規定がないため,プロバイダは発信者情報の開示に消極的になるのではないかという疑問もあります。なお,逆にプロバイダが開示に応じなかった場合は,被害者には裁判所に発信者情報開示訴訟を提起する道が残されています。

5 プロバイダ責任制限法の適用範囲

 プロバイダ責任制限法では,プロバイダを「特定電気通信役務提供者」として,「特定電気通信を用いて他人の通信を媒介し,その他特定電気通信設備を他人の通信の用に供する者」と定義しています(2条3号)。更に「特定電気通信」については,「不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信」の送信をいうこととされています(2条1号)。

 ホームページや電子掲示板の開設者がここに言う「特定電気通信役務提供者」に含まれることは前述の通りですが,これはあくまで不特定の者を相手に情報の発信を行っている場合に限定されることに注意が必要です。つまり,1対1の電子メールのやり取りにおける名誉毀損やプライバシー侵害,著作権侵害などは,プロバイダ責任制限法の適用範囲外となります。なお,仲間内だけのメーリングリストやアクセス制限を付与したホームページがどう扱われるかは不明です。

6 むすび

 プロバイダ責任制限法は,問題となる情報を削除しないこと,あるいは削除することについて,プロバイダが負うべき責任の限界を定めるものですが,プロバイダに高度な法的判断が求められることは,これまでと変わりありません。名誉・プライバシー・著作権・契約上の権利・表現の自由・通信の秘密などのさまざまな価値がぶつかり合う中,プロバイダには今後ますます慎重な対応が求められることになるでしょう。また,発信者情報開示請求権については,インターネットでの被害者救済に道を開いたという面は評価できますが,発信者情報開示はいわば「通信の秘密」の例外的な規定であるとも言えるわけで,この点でも慎重な運用に期待したいところです。

 なお,大学が管理するサーバ類においては,学生が軽い気持ちでホームページ上に違法な情報を掲載したような場合でも,学生本人はもちろん研究室サーバの管理者,職員までがプロバイダとしての対応を求められることに注意して,情報の発信について真剣に取り組まれることを願います。

参考文献

  1. 村井武:プロバイダ責任制限法の論点—法がプロバイダに求めるプラクティス,東北大学 大学院法学研究科 トランスナショナル情報法研究会報告,2002年1月30日.
  2. 松本恒雄:違法情報についてのプロバイダーの民事責任,ジュリスト 1215号,pp. 107--116,2002年.
  3. 総務省:特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の概要(*1),2001年11月.http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/top/denki_h.html
  4. 郵政省:「インターネット上の情報流通の適正確保に関する研究会」報告書,2000年12月20日.http://www.yusei.go.jp/pressrelease/japanese/denki/001220j601.html


(*1) 図2と図3は,総務省による図解を基にして作成しました。

特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(平成十三年法律第百三十七号)

(趣旨)
第一条
この法律は、特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害があった場合について、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示を請求する権利につき定めるものとする。

(定義)
第二条
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 特定電気通信 不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第一号に規定する電気通信をいう。以下この号において同じ。)の送信(公衆によって直接受信されることを目的とする電気通信の送信を除く。)をいう。
二 特定電気通信設備 特定電気通信の用に供される電気通信設備(電気通信事業法第二条第二号に規定する電気通信設備をいう。)をいう。
三 特定電気通信役務提供者 特定電気通信設備を用いて他人の通信を媒介し、その他特定電気通信設備を他人の通信の用に供する者をいう。
四 発信者 特定電気通信役務提供者の用いる特定電気通信設備の記録媒体(当該記録媒体に記録された情報が不特定の者に送信されるものに限る。)に情報を記録し、又は当該特定電気通信設備の送信装置(当該送信装置に入力された情報が不特定の者に送信されるものに限る。)に情報を入力した者をいう。
(損害賠償責任の制限)
第三条
特定電気通信による情報の流通により他人の権利が侵害されたときは、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者(以下この項において「関係役務提供者」という。)は、これによって生じた損害については、権利を侵害した情報の不特定の者に対する送信を防止する措置を講ずることが技術的に可能な場合であって、次の各号のいずれかに該当するときでなければ、賠償の責めに任じない。ただし、当該関係役務提供者が当該権利を侵害した情報の発信者である場合は、この限りでない。
一 当該関係役務提供者が当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知っていたとき。
二 当該関係役務提供者が、当該特定電気通信による情報の流通を知っていた場合であって、当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるとき。

2 特定電気通信役務提供者は、特定電気通信による情報の送信を防止する措置を講じた場合において、当該措置により送信を防止された情報の発信者に生じた損害については、当該措置が当該情報の不特定の者に対する送信を防止するために必要な限度において行われたものである場合であって、次の各号のいずれかに該当するときは、賠償の責めに任じない。
一 当該特定電気通信役務提供者が当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が不当に侵害されていると信じるに足りる相当の理由があったとき。
二 特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者から、当該権利を侵害したとする情報(以下「侵害情報」という。)、侵害されたとする権利及び権利が侵害されたとする理由(以下この号において「侵害情報等」という。)を示して当該特定電気通信役務提供者に対し侵害情報の送信を防止する措置(以下この号において「送信防止措置」という。)を講ずるよう申出があった場合に、当該特定電気通信役務提供者が、当該侵害情報の発信者に対し当該侵害情報等を示して当該送信防止措置を講ずることに同意するかどうかを照会した場合において、当該発信者が当該照会を受けた日から七日を経過しても当該発信者から当該送信防止措置を講ずることに同意しない旨の申出がなかったとき。
(発信者情報の開示請求等)
第四条
特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者は、次の各号のいずれにも該当するときに限り、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者(以下「開示関係役務提供者」という。)に対し、当該開示関係役務提供者が保有する当該権利の侵害に係る発信者情報(氏名、住所その他の侵害情報の発信者の特定に資する情報であって総務省令で定めるものをいう。以下同じ。)の開示を請求することができる。
一 侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき。
二 当該発信者情報が当該開示の請求をする者の損害賠償請求権の行使のために必要である場合その他発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき。

2 開示関係役務提供者は、前項の規定による開示の請求を受けたときは、当該開示の請求に係る侵害情報の発信者と連絡することができない場合その他特別の事情がある場合を除き、開示するかどうかについて当該発信者の意見を聴かなければならない。
3 第一項の規定により発信者情報の開示を受けた者は、当該発信者情報をみだりに用いて、不当に当該発信者の名誉又は生活の平穏を害する行為をしてはならない。
4 開示関係役務提供者は、第一項の規定による開示の請求に応じないことにより当該開示の請求をした者に生じた損害については、故意又は重大な過失がある場合でなければ、賠償の責めに任じない。ただし、当該開示関係役務提供者が当該開示の請求に係る侵害情報の発信者である場合は、この限りでない。
附 則
この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。