新十両19歳・佐藤8連勝の快挙 貴親方門下初の日本人関取

[ 2016年5月16日 05:30 ]

8連勝を飾り勝ち越しを決めた佐藤は帰りの電車で笑顔を見せる

大相撲夏場所 8日目

(5月15日 両国国技館)
 19歳の新十両・佐藤が天風をはたき込み、破竹の8連勝で勝ち越しを決めた。新十両のストレート給金は、15日制となった1949年夏場所以降6人目。貴乃花親方(元横綱)が育てた初の日本人関取が、史上初の新十両全勝優勝に向けて突き進んでいる。幕内は横綱・白鵬、大関・稀勢の里がともに全勝を守って勝ち越し。1敗は横綱・日馬富士、大関・豪栄道の2人となった。

 十両最重量203キロの天風に果敢にぶちかましていった。右上手を引いたが、相手に出られると自らまわしを離して押しに切り替えた。そして正面に押し込んでからタイミングのいいはたき込み。「緊張感はない。勝ち越したので、明日から伸び伸びいける」。ストレート給金に胸を張った。

 身長1メートル73で、十両では宇良、石浦とともに最も小さい。手足も長い方ではなく「まわしを取られたら秒殺される」。そのため、立ち合いでしっかり当たってから、押して、崩して、の繰り返し。師匠の貴乃花巡業部長(元横綱)の付け人として春巡業に参加したが、そこでさまざまなタイプの力士と相撲を取るチャンスに恵まれ、攻撃の幅も広がった。

 新十両のストレート給金は6人目だが、10代での達成は佐藤が初めて。過去5人はいずれも優勝しているが、初土俵から11場所目の佐藤が優勝すれば、常幸龍の9場所に次いで、小錦、琴欧州らと並ぶ2位タイのスピード優勝となる(年6場所となった58年以降、幕下付け出しは除く)。「優勝したい気持ちはある。目標は全勝優勝」と強気の姿勢だ。

 貴乃花親方が「真面目で負けん気が強く、やる気のある子」と言うように、ストイックな日々を送っている。午後9時半には就寝し、午前4時に起きて5時半からの稽古に備える。師匠が現役時代にしていたことは積極的に取り入れており、東京都中野区の部屋を出る前と国技館に着いてから必ずバナナを食べて糖分を補給する。「貴乃花道を継いでいくだけ」と10代と思えぬ頼もしさだ。

 千代の国も全勝で、石浦と宇良は2敗で続いている。きっぷのいい相撲を続ける関取の登場で、十両の土俵も目の離せない展開となっている。

▼佐藤の主な成績 初めて番付に載った14年九州場所は序ノ口全勝優勝。続く15年初場所は序二段全勝優勝。先場所は東幕下9枚目で全勝優勝を果たして十両昇進。先場所からの連勝は15に伸びた。

◆佐藤 貴信(さとう・たかのぶ)1996年(平8)8月5日生まれ、兵庫県芦屋市出身の19歳。小2から相撲を始め、小4から3年連続で夏休みに都内の貴乃花部屋に出向いてキッズクラブに参加した。兵庫・報徳学園中時に中学横綱、埼玉栄高時には世界ジュニア選手権無差別級優勝。高校在学中の14年秋場所に初土俵。得意は突き、押し。1メートル73、160キロ。

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