緊迫・南シナ海

中露海軍が初の合同演習を開始 軍事大国ロシアを利用し実力で米を牽制、島嶼上陸作戦も

 【北京=西見由章、モスクワ=黒川信雄】中国とロシアの海軍は12日、中国広東省湛江沖の南シナ海北西部で合同演習を開始した。中露海軍は2012年以降、合同演習を毎年実施しているが南シナ海での演習は初めて。中国は軍事大国ロシアを利用して、南シナ海での主権を全面否定したハーグの仲裁裁判所の裁定に従うよう求める米国に、実力で対抗する意思を示す狙いがあるとみられる。

 中国国防省やインタファクス通信によると12日午前、湛江の軍港でロシア側艦艇の歓迎式典が行われた。本格的な演習は15日から19日までで、中露海軍の中将が総指揮をとり、防空や対潜水艦作戦のほか、海軍陸戦隊などによる島嶼(とうしょ)上陸・防衛訓練も実施する。

 中国側からは南海、東海、北海の3艦隊からミサイル駆逐艦「広州」「鄭州」のほか揚陸艦や潜水艦など艦艇10隻と、殲11B戦闘機や艦載ヘリなど航空機19機が参加。ロシアは太平洋艦隊の大型対潜艦や大型揚陸艦を派遣している。

 中露の全面的戦略パートナーシップを発展させ、「海上安全への脅威」に共同で対処する能力を増強させるのが目的という。

 プーチン露大統領は5日、南シナ海問題への「第三者」の介入は問題の解決を阻害するとして、対中批判を強める日米を牽制(けんせい)しつつ、仲裁裁判所の裁定を受け入れない中国の立場を支持する意向を示した。中露は米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国配備に共同で反対している。

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