午後のつぶやき 大崎善生

将棋の三段リーグ、女性棋士も挑戦中

 奨励会三段リーグはプロ棋士を目指す青少年たちに立ちはだかる、それはすさまじいリーグ戦である。今期は36名が参戦し、勝ち抜けるのはわずか2名。34名が敗れ去ることになる。しかもその競争の過酷さからか、レベルは年々上がっている。先日、飲む機会があった九段のトップ棋士が、今の自分は三段リーグで指し分ける(勝敗の数を同数とする)自信がないと真顔で言うのには驚いた。それほどハイレベルなのだ。

 だからリーグを抜けて晴れて四段になった棋士は、たいていが勝ちまくる。その最たる例がデビュー後29連勝して世間を驚かせた藤井聡太四段ということになる。

 三段リーグでその藤井と昇段の一番を戦ったのが西山朋佳三段。大阪府大阪狭山市出身の22歳で、慶応大学の学生。奨励会の下部組織である研修会を14歳で卒業し、奨励会6級入り、その後昇級昇段を重ね20歳で三段リーグ入りした。女性で6級で入会し三段まで上ったのは史上初。さらに三段リーグに3期参戦し、そのうち2期で指し分け以上の成績を残している。女性で三段リーグで勝ち越したのも彼女しかいない。

 藤井戦は大変な大一番だった。62年ぶりのプロ最年少記録がかかり、対局後はテレビカメラや報道陣に囲まれた。それまで西山は藤井と奨励会で2局指し、2戦全勝。しかしこの日は昇段を賭けた藤井の気迫に押されまくり、いいところなく敗れてしまった。

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