相撲よ 第2部(上)

「自分本位では成り立たぬ」 元時津風理事長の内田勝男氏(78)

 師匠から具体的に「ああせい、こうせい」と言われたことはない。親方がそこにいるのが教えだった。私の成績が悪い時には、師匠自らまわしを締めることもあった。得意の右四つ左上手に組んでくれてね。肌で伝えてやろうということだったのだろう。「もっと真剣に気合を入れろ」と。

 師匠がまわしを締めると、稽古後は風呂に入るから14、15人の関取衆が風呂場に殺到するんだ。師匠の背中を流したくて。腰に大きないぼがあるから、それをみんな風呂場でこすらないようにしてね。怖いけど、近寄りたい。ものすごく包容力がある師匠だった。

 白鵬が「双葉山関や大鵬関を尊敬する」と言うなら、相撲人としていかがなものか、という立ち居振る舞いは慎まないといけない。

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