中国軍元高官が自殺 規律違反で調査中、習政権の軍掌握に影響も

 【北京=藤本欣也】中国国営の新華社通信は28日、人民解放軍の最高指導機関、共産党中央軍事委員会の元メンバーで、重大な規律違反の疑いで調査を受けていた張陽・前政治工作部主任(66)が自殺したと報じた。習近平政権が進める反腐敗闘争で元軍高官が自殺するのは異例。習国家主席が進める軍掌握にも影響が及びかねない事態だ。

 新華社によると、張氏は23日、自宅で首をつって死亡した。党中央は影響を最小限に抑える工作活動を行った上で公表したようだ。

 中国国防省は28日、「自殺で罪を逃れるのは卑劣だ」とする論評をウェブサイトに掲載、「張陽は罪を恐れて自殺した。恥ずべき方法で自らの一生を終結させた」などと非難した。

 張氏は今年8月下旬から、共に軍制服組トップの中央軍事委副主席だった郭伯雄氏=収賄罪で無期懲役=と、徐才厚氏=同罪で起訴手続き中に病死=の事件への関与をめぐって当局の調べを受けていた。

 28日の新華社は「調査の結果、規律・法律に著しく違反し、贈収賄や出所不明の巨額の財産がある」ことが判明したとしている。

 今回の自殺の衝撃が大きいのは、張氏が軍の人事や政治・思想部門のトップを務めていたためだ。軍最高位の上将でもあった。

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