人口減時代

27年国勢調査 福岡都市圏独り勝ち 北九州市と長崎市は大幅減

分譲マンションなど再開発が進んだ福岡県新宮町のJR新宮中央駅前
分譲マンションなど再開発が進んだ福岡県新宮町のJR新宮中央駅前

 26日に発表された平成27年国勢調査速報値で九州・山口は、福岡県だけが前回調査(22年)より人口が増えた。政令指定都市で人口5位に上昇した福岡市と、その周辺が牽引(けんいん)した。半面、北九州市と長崎市は、全国の自治体の中でも減少人数が多かった。(九州総局 奥原慎平)

 「人口増に特化した施策を打っているわけでもない。増えている感触はあったが、ここまでとは思わなかった」

 福岡県新宮町の森和也・政策経営課長補佐は、国勢調査の結果に驚いた。

 同町の人口増加率は22・9%と、全国市町村のトップだった。国内で進む少子化を横目に、今年4月に町内5番目の小学校が開校し、31年4月には新中学もできる。

 新宮町の人口増は、隣接する福岡市に引っ張られた結果だ。

 福岡市の人口は7万4767人増え、計153万8510人になった。増加数は、政令市の中でトップだった。

 福岡市に九州中から人が集まった結果、新宮町をはじめ、福岡県大野城市や春日市、佐賀県鳥栖市なども、福岡市のベッドタウンとして人口を増やした。

 福岡市が九州中から人を集めているとすれば、熊本市や大分市などの県庁所在都市は、同じ県内の他の自治体から人を吸い上げ、人口を増やした。

 仕事や学校があり、生活も便利な拠点都市への引力が、ますます強くなっているといえる。

 例外は、北九州市と長崎市だ。

 北九州市は約1万5千人減り96万1815人に、長崎市も1万4千人減少し、42万9644人だった。減少数は、全国の自治体でも1、2位だった。

 「残念な結果だ。商議所を挙げて、にぎわいづくりを呼びかけて活気がでてきたと感じていたのだが…。新日鉄住金やTOTOなどの生産拠点で、省人化が進んだことも理由だろう」

 北九州商工会議所専務理事の羽田野●士氏は肩を落とした。

 両市に共通するのは、明治以降、日本の近代化を支えた重工業の街であり、産業構造転換の影響を大きく受けたということだ。

 特に長崎市では、離島が多いという地理的条件もマイナスに働く。市都市経営室主幹、阿波村功一氏は「壱岐・対馬など長崎の離島の生活圏は福岡であり、島を離れた人は長崎市ではなく、福岡に向かう。他県のように周辺都市からの流入がない」と語った。

 長崎県の離島人口は11万8187人となり前回調査に比べて、8・6%減った。

●=隆の生の上に一

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