ロシア万華鏡

極東で土地分与法めぐるトラブル相次ぐ 先住民族の土地・遺跡まで分与? ずさんな内容が浮き彫りに

択捉島の約半数の3000人が暮らす紗那の町並み。土地を分与する法律は北方領土も対象に=北方領土択捉島(鈴木健児撮影)
択捉島の約半数の3000人が暮らす紗那の町並み。土地を分与する法律は北方領土も対象に=北方領土択捉島(鈴木健児撮影)

 ロシア極東で希望者に土地を無償で分与する新法をめぐるトラブルが相次いでいる。現地に住む少数先住民族が狩猟に使用している土地や、古代の居住地跡など貴重な遺跡までが対象に含まれていたためだ。法制度そのものの欠陥に加え、ずさんな行政の対応も浮き彫りになっている。

 新法は極東への移住促進などを目的に、希望者に遊休地を1ヘクタールずつ無償貸与するというもの。土地が申請通り使用されていれば5年後に私有財産にしたり、借用を継続したりできる。10月からは極東住民が申請対象となり、来年2月には全国の希望者に対象が拡大される。

ネズミでも獲れ?

 露紙コメルサントによると、ハバロフスク地方ではトナカイ飼育や狩猟のために少数先住民族に割り当てられていた土地約3000ヘクタールのうち、約半分が新法による分与対象となっていたことが明らかになった。同地域にはトナカイの群れを放牧しながら生活をするネネツ人など、8つの少数民族が居住している。

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