舞台「娼年」演出の三浦大輔「きれいごとではなく、共感できる」

「ハードルの高い舞台だが、稽古は毎日生産的に前に進んだ」と話す三浦大輔
「ハードルの高い舞台だが、稽古は毎日生産的に前に進んだ」と話す三浦大輔

 石田衣良原作の小説『娼年』とその続編『逝年』をもとにした舞台「娼年」が東京・池袋の東京芸術劇場プレイハウスで開演した。15歳未満は観劇不可の「R-15指定」が話題の舞台だが、演出の三浦大輔(40)は「きれいごとではなく、共感できる。女性にぜひ、見てほしい」と話す。

 毎日を無気力に過ごすフリーターの森中領(松坂桃李)は、ボーイズクラブを経営する御堂静香(高岡早紀)の勧めで、娼夫を始める。次第にやりがいを見いだし、やがて、領は静香にひかれ始める…。

 三浦は舞台化にあたり、「主人公が女性との肉体でのコミュニケーションを重ねて成長するさまなど、劇場でお客さんに体感してもらってどういうものが生まれるか、というところに挑戦したかった」と話す。

 三浦は性的表現が多い作品も多く、「いろいろやってきたので、工夫や演出上の見え方などの引き出しはある」と言うが、今回の舞台では「人と人が肉体を重ねて何が生まれるか。小説を読んだ印象と同じものが浮かび上がれば」との狙いを持って挑んだ。

 稽古場では期待以上のものが浮かび上がる瞬間もあったといい、「あまり見たことのない演劇表現の可能性」を感じたという。

 主演の松坂については「あまりセクシュアルなイメージがなかったが、実際に会って松坂君の中に潜む鬱屈した部分など通ずるものがあった」と、これまでにない松坂の部分を引き出すことに力を入れた。

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