神社本庁元幹部ら、解雇処分無効など訴え提訴 不動産売却めぐり癒着指摘

 宗教法人神社本庁(東京)が所有していた不動産の売却をめぐり、上層部と購入業者との癒着の疑いを指摘する文書を作成したなどとして同庁から懲戒処分を受けた元幹部職員2人が17日、同庁を相手取り、処分が無効であることの確認や未払い賃金の支払いなどを求める訴えを東京地裁に起こした。

 訴えを起こしたのは、懲戒免職された元総合研究部長の稲(いな)貴夫氏(57)と、教化広報部長から情報管理課職員へ降格となった瀬尾芳也氏(57)。いずれも処分は8月25日付。

 訴状によると、同庁は平成27年11月、随意契約で職員庁舎の土地・建物を東京都内の不動産会社に1億8400万円で売却。稲氏らは「売価が安すぎる」として、上層部と不動産会社の癒着の疑いを指摘した文書を作成、理事らに手渡すなどした。同庁はその後、指摘は事実に反し信用を傷つけるなどとして2人を懲戒処分とした。

 稲氏らは「文書の内容は事実」とした上で「解雇は懲戒権の乱用で無効」と主張している。

 代理人弁護士によると、不動産会社は土地・建物を別の不動産会社に即日転売し多額の利益を得た。28年5月にはさらに別の会社に3億円以上で売却されたとみられる。庁舎は昭和62年に同庁が7億5千万円で購入していた。

 東京・霞が関の司法記者クラブで会見した稲氏は「神社本庁の正常化のきっかけにしたいと提訴した」と説明。神社本庁は「弁護士と相談して対応する」とコメントしている。

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