「英真」は小学校時代のかわいい子の名前からとった当て字。「なおき」は語呂合わせと画数で考えたという。
「もう本名より長い付き合い。どっちが自分かわからないぐらいです」
★ ★ ★
入団後、星組に配属されて以来、組替えがなく、平成8年副組長、12年から組長。組をまとめる能力に加えて、キレのいいダンスと幅広い芸域が魅力の男役だ。現在、宝塚大劇場で上演中の
「エル・アルコン−鷹−」(12月15日まで)では、善良な商人グレゴリーと、スペインの海軍提督サンタクルスを演じている。
「グレゴリーは腹に一物あるように見えてはいけない、心の底からの善人。まんまとハメられて殺されるんですが、すごく新鮮な役柄です。スペイン提督は実在の立派な人物。私の中では外見も気持ちも変えて演じているけれど、芸名の方を先行してみられるファンの方も多くて。複雑なんですが、やはり役を優先してみていただきたいですね。今回の公演は組の全員が新しい課題をもらってチャレンジしている。そんな一体感とエネルギーが伝わると思います」
これまで演じた中で好きな役は、「若き日の唄は忘れじ」の式部春樹という。
「すっごく悪い役なんですが、楽屋を出るとき、“アッ、式部だ”といわれたのがうれしくて。宝塚、東京、名古屋とひとつの役を長く公演できたこともあって、思い入れが深いですね」
最近では昨年の大阪・梅田芸術劇場公演「コパカバーナ」で、スラッとした足を見せた女役グラディスが印象的だった。
「舞台ではミュージカル女優の気分でやれたんですが、貸し切り公演で組長あいさつをするときが困りました。苦肉の策で英真ではなく、グラディス役としてひとり芝居をしたんですよ」
役者と組長のスイッチは変えている。
「組長として気をつけているのは、団体生活や舞台を一緒に作るうえで、本当にいけないことをしたときはちゃんと叱ること。役者では若い子たちとも対等でありたい」そうだ。