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長野県中部(松本市周辺)の地震

2011年6月30日8時16分に長野県中部でM4.4(気象庁暫定値)の地震が地震がありました.松本市で震度5強を観測しました.けが人や松本城の被害などが報道されています.被害にあわれた方にお見舞い申し上げます.

長野県中部の地震に関する防災研究所附属地震予知研究センターおよび地震防災研究部門の関連分野による観測・調査・研究について紹介します.(最終更新日:2011年7月6日:初版掲載:2011年6月30日)

周辺の活断層

周辺の活断層についての解説です.(地震予知研究センター 遠田)

糸魚川ー静岡構造線活断層系の分布(黒太線).同断層系は複数の断層から構成されます.青文字の断層は西傾斜の逆断層,赤文字の断層は左横ずれ断層,緑文字は西傾斜の逆断層です.断層名と分布は,下川ほか(1995)に基づくものです.今回の地震は牛伏寺断層と松本盆地東縁断層の境界付近で発生しました.松本盆地東縁断層の南部は横ずれ成分が卓越し,松本市付近では盆地内にその南端がのびている可能性があります(近藤ほか,2006).

文献

上宝観測所によるルーチン観測:メカニズム解析

上宝観測所によるルーチン観測による解析結果を紹介します(地震予知研究センター上宝観測所 大見・和田・高田・濱田)

2011年6月29日から始まった、松本市周辺の地震活動の活動状況の暫定的な解析結果を示す。 震源は牛伏寺断層のトレースの3〜4km程度西側に求められた。メカニズム解は6月29日19時台から6月30日18時台までの有感地震のものを、自動震源決定処理および暫定的な再検測結果に基づく初動極性によって求めたものである。

30日8時台の地震をはじめ、節面の走向は牛伏寺断層のそれに整合的なものが多いが、一部そうでないものもあり精査が必要である。マグニチュードについても暫定値であり、JMAのそれに比べ、若干小さめに決まるものが多くこれも今後の検討を要する。

index map

今回の解析範囲は黒い枠内で,この範囲が下の図に対応する.

mechanism

震央分布と初動極性による6月30日の有感地震のメカニズム(クリックすると拡大します).それぞれ震央は赤い●(有感地震)と◯(無感地震)でしめす.震央分布の線上配列がみえる.メカニズムの解析には,震央距離150km以内の観測点のデータを使用した.メカニズム解(ビーチボール)は下半球投影.☆は6月30日8時16分と8時21分の地震の震央をしめす.赤い線は活断層の分布をしめす.

謝辞:京大・Hinet・気象庁のデータに加え,国土交通省神通川水系砂防事務所管轄の地震計データも使用した.また作図には GMT を使用した.

リンク

大学・研究機関

(順不同)