サイゾーpremium  > 特集  > タブー  > デキレース【日本レコード大賞】への苦言

――昨年で第56回目を迎えた"便宜上"日本最大の音楽賞「輝く! 日本レコード大賞」。視聴率の低下、歌い手の授賞式はおろか、ノミネートまで辞退──。視聴者だけでなく、業界も無関心の音楽の式典を、関心を寄せてもらう音楽賞にするためにも、本誌が一肌脱ぐことを決意!

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昨年の最優秀新人賞を受賞した西内まりや。業界からは「完膚なきまでの出来レース」と太鼓判を押されて、なんだか気の毒。

 日本の年の瀬の風物詩「輝く!日本レコード大賞」(TBS/以下、レコ大)の存在価値が年々薄れ、世間を無視した音楽業界内の”出来レース”になっていることは、たびたび本誌でも報じてきた。無論、昨年末のレコ大も例年にならい、最優秀新人賞にはエイベックスとライジングが社運をかけたアーティスト(兼・女優)の西内まりやが輝き、EXILEの弟分である三代目 J Soul Brothersが大賞を受賞した。しかも、本誌前月号にて既報の通り、それが発表された同時刻にスポニチが彼らの大賞受賞を知らせるニュースをヤフーに配信、「すでに一部の新聞社は三代目JSBの受賞を知っていた」とヤフトピのコメント欄は荒れに荒れた。もはや、レコ大は出来レースであることを隠す業界の思惑すら面倒がっている状況だ。

 ということで、レコ大に関しては、ある種の愛を持つ本誌が「輝く! サイゾーが選ぶ”本当の”日本レコード大賞」を選出してみた(上図参照)。音楽に対し、利権より愛を持つピュアな音楽関係者の意見を参考にすると、こうもガラッと変わるものなのだ。数年前より業界内から冷めた声しか漏れてこないレコ大への評価だが、本稿を機にレコ大事務局は”本当に輝ける音楽の祭典”を目指していただきたい。早速、冷めた業界関係者の声が届いているので紹介しよう。

「レコ大同様、年末の主要音楽祭である紅白に所属アーティストの出場を打診されたことがありますが、社の方針もあってお断りしました。紅白に出場したことによって、翌年初週の売り上げにつながるという話は理解していますが、今の10~20代、特にクリエイター気質のアーティストにとって、紅白出場の意義というのは必要じゃないんです。ましてやレコ大なんて”ノミネート作品に名を連ねるのも恥ずかしい”というイメージを持っているくらいです。ただ、”テレビに出て有名になりたい!”という新人にとっては、紅白もレコ大も良い舞台ではあると思いますけどね」(大手芸能事務所幹部)

 お次は、レコ大の存在意義の低さを指摘するレコード会社ディレクターの話。

「レコ大で大賞に選ばれることを名誉と思っている人は”まだCDは売れる”と盲信している40代以上の音楽・芸能業界関係者、そして惰性で風物詩を”ながら見”している視聴者だけかと思います。レコード会社の上役がレコ大関係者に接待をすればノミネートしてもらえるという話を聞きますが、そこに予算を割くくらいなら、お金を払ってでも雑誌の表紙を飾ったほうがファンから喜んでもらえる。iTunesのランキングや、YouTubeの再生回数が多いほど、ネットを中心に情報が拡散されるので、そういった時代に見合った成果のほうがプロモーションツールとして機能するんですよ」

 とはいえ、ご存じのように、レコ大は”芸能界のドン”こと、バーニングプロダクションの周防郁雄社長をはじめとする一部の権力者主導で行われているため、業界関係者であれば、そのパワーバランスを確認すべく、行く末を見守らざるを得ない。楽曲やアーティスト云々ではなく、業界内の関係性の縮図であり、誰も触れることのできない聖域的な催しともいえるのだ。しかも、ノミネートの選出や大賞受賞作品の投票は記名で行われるため、新聞社をはじめ、音楽プロデューサー・評論家といった投票権を持つ審査員らは、権力者の意に沿わなければいけないという、がんじがらめの性質も持ち合わせている(※詳しくは下の音楽評論家インタビューを参照)。

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