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恋愛ゲーム市場で、なぜ『ラブセン』は2年連続で「GREE Platform Award」恋愛部門で最優秀賞をとれたのか

 GREEが発表した『GREE Platform Award 2014』の恋愛ゲーム部門で、V6と疑似恋愛が楽しめる『ラブセン〜V6とヒミツの恋〜』が2年連続で最優秀賞を受賞した。毎年多くの恋愛ゲームがリリースされる中で、なぜ同作はここまで支持されているのか? 『ラブセン』のプロデューサーを務める株式会社サイバード・富田靖広氏がORICON STYLEの取材に応じ、その“ヒミツ”を明かす。さらに、今後“地殻変動”が予想されるソーシャルゲーム業界についても言及してくれた。

エポックメイキングだったV6との疑似恋愛ゲーム

  • 『ラブセン』プロデューサーのサイバード・富田靖広氏

    『ラブセン』プロデューサーのサイバード・富田靖広氏

――『GREE Platform Award 2014』の恋愛部門で、御社が2013年にリリースした『ラブセン〜V6とヒミツの恋〜』が2年連続で最優秀賞を受賞されましたね。これだけ長く人気を維持することは非常に稀有だと思います。
富田靖広率直に光栄なことだと思います。V6ファンの皆様の情熱や愛情に支えられての栄誉だと思いますね。また、V6さんはもちろん、チームメンバー、関係各所の皆様と日々の運営でお客様満足度を追及した結果とも言えます。

――2年連続で受賞ということですが、特に注力した点をお聞かせください。
富田ゲーム内で新しいイベントを行った際、常に注視していたのは、本当にお客様に満足していただけたか? ということです。チーム内でも日々ミーティングを重ね、改善するべき部分があるかどうか徹底的に検証しました。チームメンバーも様々な企画を考え、それを事務所の方とブラッシュアップする、という作業の繰り返しです。

――ジャニーズ事務所さんも企画の段階から全面協力して、内容を精査しているのは心強いですね。
富田そうですね。ファンの方に違和感のあるシナリオにならないためにご協力を頂いています。ですが、我々としてもまだ100%お客様にご満足頂けているとは思っていないので、今後も日々まい進ですね(笑)。

――『ラブセン』最大の特徴といえば、あのV6を“実写で”ゲーム内に取り入れたことです。これはゲーム業界においてもエポックメイキングな試みだったと思います。
富田ありがとうございます。実写の恋愛ゲームって、いくつかありますが、日本人のアーティストを起用した恋愛ゲームとしては『ラブセン』が初の試みでした。それが、V6さんだったということでも、なおさらやり甲斐を感じました。もちろん、初めはビックリして、少し怖気づきましたが(笑)。

――そうですよね(笑)。ただ、ソーシャルゲーム業界において、ジャニーズ事務所の協力を取り付けた意義は大きいですよ。
富田ジャニーズ事務所さんに全面的にご協力して頂ける安心感もありました。と、同時に「必ず成功させなければいけない」という強い思いが生まれました。なにより我々としては、日本を代表するアイドルであるV6さんとユーザーの皆様が、ゲームを通してさらに触れ合える機会を作れたというのが、一番の意義だったのかなと思います。

――確かにV6のファンが、もう一歩踏み込める土壌を提供できたことは、御社にとっても大きいですよね。
富田はい。そこは弊社だけでは不可能だったので、ジャニーズ事務所さんを筆頭に、関係各所のお力添えの賜物だったと思います。

恋愛ゲームで重要なのは“リアル”よりも“リアリティ”

  • 実写以外にもV6メンバーのアバターも登場(写真は岡田准一)

    実写以外にもV6メンバーのアバターも登場(写真は岡田准一)

――実際にゲーム内で使用される写真撮影時、V6メンバーの印象はいかがでしたか?
富田女性向けのゲームということで、例えば笑顔の撮影では、「大好きな女性が目の前にいます。その女性とようやく会えた時の喜びの“笑顔”を」というように、非常に細かな指示を出させて頂きまして…。

――細かなシチュエーションを提示した上での様々な“笑顔”を撮影したと(笑)。
富田そうです(笑)。同じ笑顔でも何パターンも撮影したのですが、細かなシチュエーションにも瞬時に対応していただきました。インプットする早さと、我々が望むことを理解した上でのアウトプットの早さには、改めて驚かされましたね。制作のフェーズとしては、V6さんの撮影は制作中盤に行ったんですが、出来上がった写真を見て、より『ラブセン』への自信がつきました。

――「恋愛ゲーム」もジャンルとして確立されて久しいですが、最も重要な要素として疑似体験をする上での“リアリティ”ですよね。これが“リアル”の方に向かってしまったら、ユーザーからの支持が得られない可能性もあると思うんです。
富田仰る通りです。あくまで内容としてはファンタジーというか、非現実的なストーリーです。ですが、いかにその世界観に“リアリティ”を持たせて、お客様に浸って頂けるか? その調整は凄く苦心しました。

――ただ、“リアル”と“リアリティ”の線引きって正直難しいですよね(笑)。
富田確かに数字では図れない部分はありますね(しみじみ)。ですが、そこは当社の経験やノウハウを活かしつつ、実際に多くの女性にリサーチを行いました。

――「この世界観は入り込みやすいか否か?」という部分を徹底的にリサーチしたと。
富田はい。そこから「現実的にこんなシチュエーションは無いかもしれないけど、もしあったら最高だよね」という着地点を見出していきました。

任天堂のスマホ向けゲームへの参入は脅威ではない?

  • 実写以外にもV6メンバーのアバターも登場(写真は坂本昌行)

    実写以外にもV6メンバーのアバターも登場(写真は坂本昌行)

――ソーシャルゲームもすっかり世間に浸透し、他業種からも続々参入した時期もありましたが、現在は徐々に淘汰されていっている感覚があります。
富田そうですね。現在、他社様も様々なネイティブアプリをリリースされていますが、ネイティブアプリ開発は時間が掛かりますし、その分コストもかさみます。そして100%ヒットするとは限らない……そうなると、おのずと体力とアイディアのある会社は生き残り、そうでない会社は難しいのが現状だと思います。

――そういった意味では、『ラブセン』は競合他社に先んじた取組みを提示しましたよね。
富田一歩リードというよりも、他社様と差別化を図れたという部分の方が大きいですね。当社としましては他社様の動きももちろんチェックしますが、それよりもお客様のニーズや満足度を把握し、応えていくのが先決です。

――スマホゲーム業界の話題としては、先ごろ任天堂が遂に参入という報が大々的に取り上げられていましたね。やはり任天堂の参入というのは衝撃でしたか?
富田そうですね。確かに大きな出来事だと思います。私自身は任天堂さんの参入はあってもまだ先だろうと思っていたので(笑)。

――任天堂の参入、富田さん自身の率直なご感想は?
富田日本を代表するコンテンツが、スマホゲームとして世界に進出するのは純粋に嬉しいですし、どのような形で定着していくのかという部分も含め非常に興味がありますね。

――脅威ではなく、新たな渦を巻き起こす可能性を秘めていると?
富田そうですね。日本のコンテンツやキャラクターが、スマホを通じて世界に進出していくという流れに拍車が掛かり、日本のスマホゲームのシェアが海外で拡大する事で当社のチャンスが増えると考えています。もちろん弊社としても、そこでただ指をくわえて静観しているのではなく、海外での展開をさらに強化していく予定です。現在も累計会員数1,000万人を誇る「イケメンシリーズ」の数タイトルと、本格サッカーゲーム「BFB 2015」など、いくつかのゲームを海外展開しており、手応えは感じていますし、今後も海外市場については、より注力していきたいと思っています。

――今後、デバイスの進化と共にソーシャルゲームもさらなる進化、変化が予想されますが、ユーザーが求める“理想のソーシャルゲーム”をどのように考えていますか?
富田そうですね……(熟考)。基本的にフォーマットが何であれ、「面白いか? 面白くないか?」は絶対的なものです。そのなかで我々としては、スマートフォンを通じて、どれだけ“ゲーム本来の面白さ”を提供できるかだと思います。さらに、そこに新たな体験を提供することで、お客様が望まれる“理想”に近づくと考えています。

――なるほど。形は変わっても、ゲーム本来の楽しみ方は変わらないと。
富田はい。もちろん、さまざまなゲームの楽しみ方がありますが、恋愛シミュレーションで言うと、いかに女性を中心としたお客さまに“キュン”として頂けるか? になります。そのニーズに応えるべく、他社様にはない新たな要素を取り入れつつ、我々も成長してゆくことで、新たな体験をお客様に提供できればと思っています。

『ラブセン〜V6とヒミツの恋〜』

 ふとした偶然からV6メンバーと奇跡的の出会いを果たし、互いに愛を育んでいく恋愛シミュレーション。日本人アーティストとしては初の実写恋愛シミュレーションアプリであり、さらにV6が起用されたことでも配信前から話題を集めていたのは周知の通り。ゲームに登場する写真は、今作のためだけに撮影された完全撮り下ろし。“ラブセン”でしか見ることの出来ない各メンバーの表情、衣裳も多数用意されている。また物語を進めていくと、メモリアルフォトもゲットで出来る。
(C)GREE,INC/(C)2013 CYBIRD
(C)2013 Johnny&Associates

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