2010/07/21更新
「全心協ニュース No.62」巻頭言 意見交換の進展と今後の課題 |
平成22年7月 |
全心協会長 宮脇 稔 |
1.2009年度「全心協」紙上総会報告 国家資格への取り組みが活発化し、精力的な関わりを必要とした時期を迎えていたため、2009年度総会を紙上総会とさせていただきました。 その結果、2009年12月末の期限までに、第1号〜4号議案「事業報告」「事業計画」「決算報告および監査」「予算案」(内容はNo61参照)に対する異議が示されませんでしたので、すべての議案が承認されたことをご報告申し上げます。 また、2010年度総会は11月に開催予定とし、詳しい日時、場所および議案は次号No63においてお示しする予定にしております。総会では、国家資格創設に向けた全心協の取り組み報告および方針と他団体との協議の内容について具体的な報告を行い、会員からのご意見や提言を受ける予定にしております。 総会当日は臨床心理職国家資格推進連絡協議会(鶴光代)会長をお迎えして、全心協会長である宮脇と国家資格創設の今後の方向性と課題について、具体的かつ、ざっくばらんに語り合う予定にしております。 2.「心理学界が一本化され、医師団体と意見交換。大詰め段階に!」 ニュースレターNo61において「風雲急!国家資格創設に向けて心理学界がひとつに!」を掲載してから半年あまりが経過しました。今回No62の巻頭言ではその後の経過と今後の課題について報告します。 心理職の国家資格への取り組みは、全心協が中心となり2004年から2005年にかけて医療心理師資格創設のために活動し国会議員連盟を立ち上げましたが、今一歩のところで資格化は凍結されています。 そこで、ご存知の通り今回は段階を踏まえて慎重に進めています。今号ではそうした資格への道のりを、医療心理師から2資格1法案そして一本化の流れに沿って、全心協および医療心理師国家資格制度推進協議会(推進協)の活動経過として改めてまとめたものを、資料として添えましたので参考にしてください。 日本の心理学界を代表する組織である日本心理学諸学会連合(日心連)に加盟する心理学会40団体の代表が集まり、2009年12月23日に心理職の国家資格創設について基本事項の承認を決議しました。 このことにより日本の心理学界は以下の基本コンセプトおよび要望意見において一本化されるという画期的な展開と展望を持つにいたりました。 これまで、医療心理師資格を推す全心協が呼びかけた、25の学会および関連団体による推進協。臨床心理士を推す推進連。そして基礎心理学教育を重視する日心連。国家資格創設には総論では賛成するものの、基本コンセプトでは各論において異なるこの3団体が、日心連を調整役としながら3団体会談を7回開催し、小異を捨てて大義を一致させるに至ったことはまさに心理学界のエポックメーキングです。 2009・12・23 日心連理事会(40団体約55名による総会)開催 1.資格の基本コンセプトを以下のように一部修正のうえ承認。 「資格の基本コンセプト」は次のようにする。 ・資格の名称:○○心理士、心理士、心理師等が考えられる。 (「心理師」を「心理士」と並列に修正) ・資格の性格:医療・保健、福祉、教育・発達、司法・矯正、産業等の社会的実践諸領域における汎用性の資格とする。 (「教育」を「教育・発達」とし、「社会的実践領域」を加える) ・医療提供施設においては医師の指示を受ける資格とする。 ・受験資格者: @学部卒+大学院(修士)修了者 A学部卒で数年間の実務経験をした者。 (「○年間」を「数年間」と修正) 賛成49,反対0,保留6で、承認。 2.要望意見を以下の内容で承認。 「資格の基本コンセプト」をもとにして、国資格化に係る外部に向けての要望意見の概要は次のようにする。 1.資格の名称: 心理専門職であることがわかる公共性のある名称を要望する。 2.資格の性格: 医療・保健、福祉、教育・発達、司法・矯正、産業等の社会的実践諸領域における汎用性のある資格とする。 3.医療提供施設においては医師の指示を受けることとする。 (注:「医師の指示」というのは、二資格一法案─臨床心理士及び医療心理師法案要綱骨子(案)、2005.7─の「第四 補足」に記載されている意味で用いる。) 4.業務の内容: @ 心理的な支援を必要とする者とその関係者に対して、心理学の成果にもとづき、アセスメント、心理的援助、心理相談、問題解決等を行なう。 A @の内容に加え、国民の心理的健康の保持及び増進を目的とした予防並びに教育に関する業務を行なう。 5.受験資格: @ 学部で心理学を修めて卒業し、大学院修士課程・大学院専門職学位課程で実践系心理学関連科目等を修め修了した者。 A 学部で心理学を修めて卒業し、医療・保健、福祉、教育・発達、司法・矯正、産業その他の施設で,心理専門職の有資格者による指導の下で数年以上の業務経験をなした者。 賛成42、反対4,保留9で、承認。 2010・1・23 第7回3団体会談 精神科七者懇談会(日本精神科病院協会、日本精神神経科診療所協会、日本精神神経学会、精神医学講座担当者会議、国立精神医療施設長協議会、日本総合病院精神医学会、全国自治体病院協議会精神科特別部会の7団体)より、国家資格化についての3団体との意見交換会開催の申し入れがあり、これに応じることを決定。出席者は3団体会談出席の6名。 2010・3・4 精神科七者懇談会(以下7者懇)と3団体との心理職の国家資格化問題意見交換会開催 7者懇「心理職の国家資格化問題委員会」からの申し入れを受けて、開催された3団体との意見交換会の主な内容は以下の通りです。 3団体から関連資料を提出し、それに基づいて3団体会談の経過、日心連決議等と現状について説明し、心理学諸学会連合40団体が、ひとつにまとまって心理職の国家資格創設を要望していることを表明しました。具体的には基本コンセプトと要望意見について報告し、7者懇から意見を伺いました。 7者懇からは、心理学界が1本化に向かいまとまりつつあることを評価する姿勢が示され、国家資格創設への反対意見は示されませんでした。今後は3団体が示した基本骨子を7者懇各団体が持ち帰り、国家資格化への方針に対する意見を集約し、必要があれば次回の意見交換会に臨むことを確認しました。 今回の意見交換会議事録は7者懇側で作成して3団体が確認する予定です。 医師団体からの受験資格、医師の指示の範囲、心理職の名称、個人開業、経過措置、などに関する質問に対する3団体の回答は団体によって多少考え方の違いはあるものの、今後の話し合いで十分克服できる課題であると感じられました。 2010.5.7 心療内科学会、心身医学会と3団体との意見交換会開催 心理士の国家資格『基本コンセプト』に関する申し入れがあり、7者懇と同様に3団体でこれを受けて意見交換会を開催しました。 交換会では3団体から経過、基本コンセプトの詳細、今後の見通しなどについて説明し、その後医師団体との前向きな意見交換が行われました。この日も、7者懇との意見交換会と同様に、心理学界総体が一本化して国家資格創設に取り組むことを評価していただき、残る課題克服のための一層の努力を確認されました。 2団体より、一緒に国家資格化実現に取り組みましょうとの国家資格創設に向けた積極的な支援表明をいただき、意見交換会を終了しました。 7者懇および2団体の医師団体からの質問、要望要旨は以下の通りです。 ・医師の指示はどの範囲までかかるのか、医療施設以外にも医師の指示が必要ではないか? ・医療現場での実習はとても重要である。 ・国家資格以外の学会等の認定資格はどうなるのか? ・主務大臣は厚生労働大臣ではどうか? ・臨床の付く名称は認めがたい。医師のように広い名称にして欲しい。 ・保健医療機関としての心理職の開業は 認められない。 ・業務経験年数と業務経験の指導者を明確にして欲しい ・現任者救済のための経過措置をどうすべきかが重要課題。 ・更新制の必要か? 以下に医師団体からの質問に対する全心協の考えと3団体の考えを示しておきます。 @ 医師の指示に対しては医療・保健施設以外には医師の指示はかからない。医療施設以外の領域は医師との連携で考えたい。(3団体の考えもほぼ一致) A 医療現場での実習を必修とする方向で考えたい。学部卒の場合の医療機関における研修は特に重要と考える。(3団体ともに医療現場での実習の必要性を認めているが、期間や時期で多少意見が分かれる) B 学会認定資格については国家資格をベースとした上乗せ資格として認定資格を生かす。(3団体共通) C 厚生労働省を主務官庁としたい。(推進連は文部科学省との共管資格としたい) D 名称は心理師がベストと考える。心理士では他の学会認定資格と紛らわしい。男女同一名称としては士より師が望ましい。医療関係職種としては師が望ましい。(日心連は心理士・師がよいと考えている) E 個人開業はあくまで自由であるが、保健医療機関としての心理職の開業は考えていない。(3団体共通) F 業務経験年数は心理職の指導者が現場に居ることを前提として2年としたい。(推心連は5年以上は必要ではないかと考えている)指導者は業務経験5年以上の心理職を目安としたい。 G 精神保健福祉士の資格創設の経過措置を参考に検討したい。(3団体共通) H 更新制導入を強くは反対しないが、現実的には認定機関の権限を強めるだけで、資質の向上には必ずしも連動しないのではないかと考える。導入するなら、経過を見た後でよいのではないか。 今後の予定 2010.7・ 医療心理師国家資格制度推進協議会総会において基本コンセプトおよび要望意見の承認を検討。 2010.8・ 3団体と医療団体代表で行政および議員への要望開始。 2010.11・ 2010年度 全心協総会開催予定。(資格のミニシンポを同時開催予定) 今後の課題 心理職の国家資格創設に対する機は熟しています。医師の団体との意見交換会も開催し、前向きの評価をいただきました。前回の失敗を教訓として慎重に着実に事を運ぶ必要はありますが、時機を失してはいけません。今後は速やかに残る課題を検討し、行政や国会議員への要望段階に入る必要があります。 まず何よりも資格の名称を決定し、3団体と医師団体が資格創設に向け一致団結して、一つの国家資格創設を求めていることを明確にしなければなりません。 カリキュラムは大学の先生方にとっては今後の大学の存亡にも関わる大きな問題でしょうが、何より資格を待ち望んでいる患者さんやクライアントのためにこそ大同団結する必要があります。大学のカリキュラムは基礎心理学を重視した内容で概ね受け入れられています。大学院は臨床心理学を中心にした選択肢の広いカリキュラムとすることで臨床心理士の指定校以外の受験も可能になる配慮をすればよいと思われます。 医療現場での大学や大学院での実習や研修は必修とすべきですが、学生が進む方向によりその期間は長短選択できるようにすればよいと思われます。 そうした課題の検討作業と同時に、3団体と医師団体の代表がひとつの資格のために要望団体を作りロビー活動するための、具体的なタイムスケジュールを立てる時機に来ていると考えます。 全心協では参議院選挙後に、時間をおかずに動けるように粛粛と準備を進めるために、3団体、医師団体に呼びかけたいと考えております。 全心協及び「医療心理師国家資格制度推進協議会」活動経過抜粋 【 推進協議会設立以前 】 2004. 9.22 医療心理師国家資格制度推進協議会準備会 →医療心理師国家資格制度推進協議会 結成(23団体) 2004.11.16 鴨下一郎衆議院厚生労働委員長宛、正式の要望書を提出 公明党厚生労働委員長福島豊衆議院議員宛、正式の要望書を提出 民主党NC厚生労働大臣横路孝弘衆議院議員宛、正式の要望書を提出 【 推進協議会設立 】 2005. 1.22 医療心理師国家資格制度推進協議会総会開催 23団体のうち19団体が参加 42名 要望書 専門業務:医事法制内で心理学的立場からの心理査定、心理療法、心理学的援助 免 許:大学で心理学基礎及び実務に必要な専門科目を含む標準的カリキュムを修め国家試験によって取得 資格取得後2年間の実務研修 名称独占:医療心理師(仮称) 【 推進協議会設立以後 】 2005. 2. 4 読売新聞記事掲載(第4版 夕刊一面) 「医療心理師新設へ 国家資格 うつ病急増に対応 自公民合意」 2005. 2.24 「医療心理師法を実現する議員の会総会」開催 フロア参加:114名 2005. 3.23 「医療心理師法を実現する議員の会」幹事会 立法上の整合性について議論が出たが、要綱を「議員の会総会」に諮って成案とする 2005. 3.24 カリキュラム検討 厚生労働省精神保健福祉課、日本心理学会、全心協 【 医療心理師法案要綱骨子案 】 2005. 3.31 議員の会総会(推進協議会会長、事務局長出席) 第2回医療心理師法(仮称)を実現する議員の会総会開催 「医療心理師法案要綱骨子案」を承認 2005. 4.13 丹羽代議士、河村代議士、鴨下代議士による推進協議会および臨床心理士会へのヒアリング 【 決起集会 】 2005. 4.16(土)18:30-20:00 『医療心理師法を実現する決起集会』開催 会 場:国立オリンピック記念青少年総合センター国際会議室(国際交流棟) 参加者:302名 2005. 4.19 臨床心理士国家資格化をめざす「臨床心理職の国家資格化を通じ国民の心のケアの充実を目 指す議員懇談会」発足 2005. 4.26 医療心理師法及び臨床心理士法の一本化についての調整を行政と議員で始める 2005. 6. 3 二法を一つの法律に入れる(実務体制についてはそれぞれ別個の形に制度化する) 行政改革本部が了解できる形になる。 2005. 6.30 自民党四議員による協議の最終結論として要綱がまとまる。 7月5日に両議連総会を開催し承認されれば法案策定となり今通常国会に上程予定。 【 両議連総会・臨床心理士及び医療心理師法案要綱骨子 】承認される 2005. 7. 5 議連総会(憲政記念館) 出席議員 約40名 【推進協議会総会】2資格1法案の骨子についての協議 2005. 7. 8 出席21団体 *まとめ:今回提起された法案要綱骨子について、そのいきさつの説明がなされ、要綱骨子の修正はほとんど困難な状況であることが示された。しかし疑問点があることは事実である。推進協議会としてはこのまま資格化がなされなかった場合に次の機会がないという認識も一方にあることを憂慮して、資格化を優先させる方向を維持して、問題提起は医師団体の動きなどを見守ることにした。 2005. 7.22 日精協『反対声明』公表 2005. 7.26 全国自治体病院協議会 精神科部会 国家資格実現へのお願い 病院地域精神医学会 国家資格実現へのお願い 日本精神神経科診療所協会 公開質問状を公表 2005. 7.27 国会上程を断念 2005. 8. 8 衆議院解散 【上程断念後 】 2005.11 医療関係団体との話し合い。 法案に修正が必要と考えている。時間をかけて検討してゆく必要があるが、タイミングも大事である。臨床心理士の国家資格内容は了解しがたい点があるものの、全てをご破算にすると資格化は困難になるので、具体策の検討を推進協議会で進める必要がある。 2005.12 臨床心理士会幹部有志と全心協幹部有志の話し合い 心理士会と全心協の代表が再度国家資格化への具体的な今後の方向性について話し合いを持った。 2006. 1 日本心理学諸学会連合より心理の国家資格創設への態度を議論するために、臨床心理職国家資格推進連絡協議会(臨床心理士会系)、医療心理師国家資格制度推進協議会の2団体に資料・情報を求められる 2006. 1 臨床心理士会代表と全心協代表の話し合い。 心理士会、全心協各3名、ブログの代表者2名が出席して、国家資格化にむけた具体的な意見交換と検討をおこなった。資格化の時期や内容に対する考えには隔たりが大きいが、話し合いの場を無くさずに進めてゆくことを了解。 2006. 1.31 医療心理師国家資格制度推進協議会より日本心理学諸学会連合に資料送付 2006. 3. 日精協「医療保健心理士(仮称)国家資格制度」に対する専門対応チームの会合が開催され全心協が参加。 推進協議会の組織を見直し、法案内容の修正を検討開始。 2006. 4.30 日本心理学諸学会連合臨時理事会において2資格1法案が国会上程された場合に連合として条件付で支持することを議決。 2006. 5.28 推進協議会総会開催 傘下26団体のうち18団体より代表が参加 運営規定を一部変更。 医療心理師法案部分に対しては反対意見なし。臨床心理士法案部分に対してはさまざまな意見が各団体より出される。 二資格一法案のまま国会に上程された場合は賛成しがたいとの意見が主流。 2006. 9.29 日本精神科病院協会代議員会にて2資格1法案の修正を求める決議がなされる。 2006.10. 9 第2回日本心理学諸学会連合資格制度検討委員会開催。 医療心理師、臨床心理士それぞれの養成カリキュラム検討予定。 2006.10.26 鴨下一郎議連幹事長、医療心理師および臨床心理士の国家資格化を目指す両議連の世話人が会合を開き、今臨時国会での法案成立を目指すことを確認したと公表。 2006.10.26 精神科七者懇(日本精神科病院協会、日本精神神経科診療所協会、日本精神神経学会、精神医学講座担当者会議、国立精神医療施設長協議会、日本総合病院精神医学会、全国自治体病院協議会精神科特別部会の7団体)が26日の総会で「2資格1法案が、修正無しに国会提出されるのであれば、反対せざるを得ない」との緊急声明を出す。 2006.11. 4 日本心理学会・日本心理学諸学会連合共催シンポジウム 「心理学界が目指すべき資格制度のあり方−心理職の国家資格化をめぐって−」開催される。全心協、日本臨床心理士会、日本精神科病院協会のそれぞれの代表が、公式の場で国家資格についての意見を表明した。 2006.11.19 第3回日本心理学諸学会連合資格制度検討委員会開催。 医療心理師および臨床心理士の養成カリキュラムについて検討。 2006.11.25. 日本心理学諸学会連合主催で医療心理師、臨床心理士、日本心理学諸学会連合の代表者が資格化実現のために具体的な修正案について話し合う。日本精神科病院協会代議員会で決議された9項目の修正案をたたき台として、精力的な話し合いを行う。この話し合いを受けて、日本心理学諸学会連合理事会と日本精神科病院協会との会合を検討。 2006.12.19 第165回 臨時国会閉会。法案提出見送られる。 2007. 1.13 第4回 日本心理学諸学会連合資格制度検討委員会開催。 2007. 1.17 日本心理学諸学会連合理事会(心理臨床学会理事長、日本心理学会理事長を含む4名参加)と日本精神科病院協会(5名参加)で法案修正の検討会開催。紳士的、友好的な話し合いがもたれ、主に日本精神科病院協会の9項目のうち@業務領域 A名称 B医療心理師の研修についての3項目について説明を受け、日本精神科病院協会からは臨床心理士の名称変更を要請。 2007. 4.20 全心協役員4名と心理士会幹部6名有志で情報交換を行う。 2007. 5.11 推進協議会役員と日本精神科病院協会との話し合い。今後の取り組みとして推進協議会の方針を明確化することを確認。 2007. 6.30 第3回 医療心理師国家資格制度推進協議会総会(26団体中18団体27名が参加) 「心理職国資格実現に向けて、今後の推進協議会の取り組みについて」総会討論 2資格1法案を否定することは議員連盟間の合意を否定することになり、資格化そのものを失ってしまうなどの声もあり、議論百出の末、以下の方向を確認した。 @医療心理師の法案部分について、再度異論がないかを各団体で確認すると共に、法案の条文に問題がないかを検討し、各団体の正式な意見として期限を決めて持ち寄る。その後、各団体聞の意見をまとめ推進協議会の統一意見とする。 Aそれを受けてこれまで相談してきた国会議員に医療心理師の必要性について再度強く要望し、説得を行う。 B二資格一法案を基にするのか、あるいは原点に戻り改めて医療心理師国家資格化へ向けた動きにするのか、総会で議論する。 2007. 9. 8 関西全心協研修会開催。研修会の第2部トークセッションで丹野義彦東大教授と宮脇全心協会長が「医療で働く心理職の可能性−国家資格の実現に向けて−」をテーマにフロアを含めた話し合いを行う。 2008. 4. 7 日本学術会議より対外報告「学士過程における心理学教育の質的向上とキャリアパス確立に向けて」が公表される。 2008. 8.28 日本学術会議より提言「医療領域に従事する『職能心理士(医療心理)』の国家資格法制の確立を」が公表される。 2008. 9.14 全心協総会開催。学術会議の提言を国家資格制度創設の追い風と受け止め「二資格一法案」成立に向けて一層努力することを確認。 2008.12.23 日本心理学諸学会連合理事会決議 「日本心理学諸学会連合は、2資格1法案を支持する。国資格の早期実現を図るために、心理学界の意見を集約し、協調・共存案の立案に至る事を目的として、日本心理学諸学会連合は、心理系、医療系各団体との折衝および国会議員等への働きかけに向けて動き出すこととする。なお、カリキュラムや資格の名称についてはさらに検討していくこととする。」 2009. 2.15 第1回 日本心理学諸学会連合(日心連)が調整役となり、推進協、推心連、日心連の三団体による資格問題についての会談を始める。 2009. 3.16 第2回 三団体による資格問題についての会談 2009. 4.16 推進協総会開催(25団体中19団体参加) 「2資格1法案の微調整」で資格化を進めることにはかなりの困難が予想され、「1資格」の可能性を探る流れとなった。この場合1資格というのは、医療心理師法案ひとつにするということではなく、2資格をひとつにまとめるという方向であり、学術会議の提言も参考にすることを確認。 2009. 4.29 第3回 三団体による資格問題についての会談 (1)国家資格の早期実現について 3回にわたる三団体の会談をとおして、「2資格1法案の実現は難しい」という認識が一致するという形で一区切りしたので、今後については、日心連6月7日の理事会の議論にしたがうが、臨床心理職側、医療心理師側から、今後も日心連が両団体の調整をしてほしいとの要望書を出し、最後に国家資格の早期実現を図ることの必要性を改めて確認した。 2009. 5.16 全心協役員会開催 全心協としての今後の方向性を検討し、方針を確認した。 「2資格1法案」から「1資格」への変更についての確認 全心協は推進協のアンケートに対し、「2資格1法案」を堅持する方針を役員会で確認し、回答している。これは、「2資格1法案」による国家資格創設が、ユーザーが保険診療によって心理職の支援を得ることができるようになるための、もっとも近道であるとの判断に基づく結論であった。推進協総会において「2資格1法案」の微調整では法案提出が困難であるとの経緯を踏まえて、「1資格」に可能性があるならば、その方向に舵をきることはなんら問題ないとの結論に達した。 2009. 6. 7 日心連理事会開催 日心連理事会では、4月29日の第3回3団体会談の要旨および医療心理師側と臨床心理士側の団体による「資格関係要望書」を受け審議した結果「日本心理学諸学会連合は、国資格の早期実現を図るべく、2資格1法案を起点・ベースとして、それを統合する形の新しい方向性を模索するために、心理系、医療系各団体との折衝を継続する」ことと決定した。 要望書における法案骨子の要点は以下の4点 ・心理職としてひとつの資格(領域汎用性の資格)。 ・資格名は、○○心理士、心理士(心理師)等を検討。 ・学部と大学院が連動した教育システムとする。 ・医療機関においては医師の指示を受ける資格とする。 2009. 7.26 全心協役員会 2団体要望書基本骨子を承認。 役員会では全心協が考える法案骨子案を検討 ・名称:医療心理師、臨床心理士に拘らずに汎用的な名称とする。 ・医師の指示:医療・保健といった保険制度と結びつく領域で、傷病者に対しては医師の指示のもとで業務を行う。 ・教育:4年制大学での心理学専門教育を基本とし、その後現場にて一定期間研修(有給)を受けるか大学院教育を受けて受験。1種、2種といった2階建ての資格とはしない。 ・カリキュラム: 基礎心理学科目を尊重する。最低限必要な医学・福祉教育および多職種によるチームアプローチや集団・地域活動での心理学を重視する。また、実習・研修システムの充実を図る。 ・主務官庁: 厚労省を主務官庁とする。 2009. 8.11 第4回3団体会談開催 2009. 9.12 3団体による養成カリキュラムに関する意見交換会開催 2009. 9.13 日心連の常任理事会で、3団体会談で資格の基本コンセプト、カリキュラムのたたき台の作成、要望意見のたたき台を作成する方針が了承された。 2009. 9.25 推進協臨時総会開催 資格の基本コンセプトについて資格名称と受験資格者について修正意見が出たが、大きな反対はなく、3団体会談で話し合いを進めることを承認。カリキュラムのたたき台は心理関係団体の代表で検討することになる。 2009. 9.26 第5回3団体会談開催 2009.10.24 推進協のカリキュラムワーキンググループで学部および大学院カリキュラム検討。学部教育における基礎心理学を重視。大学院は指定大学院でない大学院からの受験も可能となるように配慮。 2009.10.25 全心協役員会開催 @資格の基本コンセプト案(Ver.2)を承認。 ・ 資格の名称:○○心理士、心理士(心理師)等が考えられる。 ・ 資格の性格:領域汎用性の資格とする。 ・ 医療機関においては医師の指示を受ける資格とする。 ・ 受験資格者:@学部卒+大学院(修士)修了者 A学部卒で○年間の実務経験をした者。 2009.11. 3 第6回3団体会談 2009.12.23 日心連理事会(40団体約55名による総会)開催 1.資格の基本コンセプトを一部修正のうえ承認。 2.要望意見を一部修正のうえ承認。 2010. 1.10 全心協役員会 ・国家資格化の経過報告と全心協の今後の取り組み ・全心協が考える国家資格の意味と具体的提言内容 (養成カリキュラム、業務、配置、診療報酬との関係等) 2010. 1.23 第7回3団体会談 精神科七者懇談会(日本精神科病院協会、日本精神神経科診療所協会、日本精神神経学会、精神医学講座担当者会議、国立精神医療施設長協議会、日本総合病院精神医学会、全国自治体病院協議会精神科特別部会の7団体)より、国家資格化についての3団体との意見交換会開催の申し入れがあり、これに応じることを決める。出席者は3団体会談出席の6名。 2010. 3. 4 精神科七者懇談会(以下7者懇)と3団体との心理職の国家資格化問題意見交換会開催 7者懇「心理職の国家資格化問題委員会」からの申し入れを受けて、3団体との意見交換会が開催された。 2010. 4.18 全心協役員会 ・経過報告と今後の方針 心理学界が一本化した今日の課題は、3団体を主体とする国家資格推進団体を新たに組織して、その組織として医師団体のバックアップを得ながらロビー活動を本格化する時期を迎えていることを、3団体に提言する。推進協議会総会で基本コンセプトと要望内容の承認を求める。 2010. 5. 7 日本心身医学会、日本心療内科学会と3団体との意見交換会開催 心理士の国家資格『基本コンセプト』に関する意見交換会開催の申し入れがあり、3団体でこれを受ける。3団体から経過、基本コンセプトの詳細、今後の見通しなどについて説明し前向きな意見交換が行われる。意見交換後2団体より、国家資格創設に向けて積極的に支援するとの意思が示される。 今後の予定 2010. 7. 医療心理師国家資格制度推進協議会総会において基本コンセプトおよび要望意見の承認を検討。 2010.8. 3団体と医療団体代表で行政および議員への要望開始。 2010.11. 2010年度 全心協総会開催予定。 |
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