明雄さんのにっぽん農業ノート

北海道夕張郡

道央に位置し、由仁町・長沼町・栗山町の3町からなる。
札幌市に近く、農業が盛ん。

お世話になった方

安居 レイ子さん

長沼町で札幌大球を育てている農家さん。
札幌大球の他にも長ネギを栽培している。地元では有名な漬物名人。

阪 良子さん

長沼町の農家さん。漬物の製造などを行う「未楽瑠(みらくる)加工グループ」の代表を務めている。

日本でのキャベツ栽培の歴史

江戸時代に西洋から日本に入ってきたキャベツは牡丹菜、玉菜、甘藍(かんらん)などと呼ばれ、食用よりも観賞用に利用されていた。本格的に食用としてのキャベツが作られるようになったのは明治時代になってから。食文化の変化により西洋料理が広がり、それに伴いキャベツも普及していった。

札幌大球

北海道で栽培されている巨大キャベツ。
生長すると重さは10~15キロ、大きさは30~50センチ、最大級の物ではなんと18キロ、大きさ60センチにもなる。
肉質が柔らかく、甘味があり、更にいろいろな料理にも向くキャベツだったため、昭和の初期頃は北海道のキャベツ栽培の約半分を占めていたが、次第に減少していった。
札幌大球の大半は加工用(漬物)のキャベツとして使用される。

DASH村のキャベツ栽培

DASH村でもキャベツを栽培していたが、種を蒔いてから2か月半ほどで収穫のサイズになっていた。

札幌大球の栽培に関して

  • 札幌大球は雨が多いと病気になりやすく、虫の被害にも弱いため栽培は困難。
    冷涼な気候と水はけの良い土壌を好む。北海道は年間を通して暖かい期間が少ないため、虫が発生しにくく、虫の被害が少ないという。
  • 安居さんの畑では約1500個の札幌大球が栽培されている。
  • 通常のキャベツは重さ1.5~2.5キロほどで、栽培に60~90日ほどかかるのに対し、札幌大球は栽培に150日近くかかり、重さは10~15キロ、大きさは30~50㎝程にもなる。
  • 通常5月下旬に種を蒔き、10月下旬からの約2週間で収穫する。

明雄さんメモ

あんなにでっけぇキャベツは初めて見たぞ!
北海道だからあんなにでかいキャベツが育つのかな?

収穫に関して

通常の包丁やナタでは収穫が困難なため、刃がノコギリ状になっている巨大な包丁を使う。収穫した札幌大球は近くの道の駅などへ運ばれ販売される。
多い日には、1日で約100個の札幌大球が売れることもある。

割れたキャベツ

キャベツは内側から外側に生長を続ける野菜。収穫時期を過ぎても生長を続けるため、外葉が内側からの圧力に耐えられなくなると割れしてしまう(裂球)。
なお、割れたところが空気に触れると酸化してしまい、味が落ちる。

明雄さんメモ

おれの体ぐらい大きかったぞ!10キロもあるキャベツは初めて持った!
あのキャベツを持ち上げるんだから安居さんはすごいな~

札幌大球が他のキャベツよりも甘い理由

  1. 栽培日数が多い
    栽培日数が普通のキャベツの約2倍かかっているため、その分、糖などの養分を多く溜め込むことができる。
  2. 自身を凍らせない様に糖分を出す
    気温が低くなると、耐寒性・耐凍性を高めるために、糖分の量が多くなる。
    通常、気温が0℃以下になると細胞内の水分も凍ってしまうが、この水分に糖が含まれる事により、気温が0℃以下になっても凍らなくなる。

札幌大球の栽培が衰退した理由

  1. 核家族化による時代の変化
    近年の核家族化により一般家庭の冷蔵庫では保存ができない、また食文化の変化により一番の消費源であったニシン漬けを作る家庭が減った事も原因のひとつ。
    ニシン漬けは通常、まるごと1球を使用するため、漬物樽を貯蔵するための広いスペース、または大きい冷蔵庫が必要だが、これらの場所も核家族化によるマンション住まいなどで減ってしまった。
  2. 栽培が困難
    栽培日数が通常のキャベツの約2倍かかり、暑さや湿度の変化、乾燥に弱いなど栽培が比較的困難なことも理由のひとつ。また、大きいもので13キロほどにもなり、収穫が大変な重労働なこと、生産者の高齢化などもあり、生産農家は減っていった。

料理

ニシン漬け

北海道に伝わる、厳しい冬を乗り越えるための保存食。
塩分濃度はそれほど高くなく、米麹によるほどよい酸味とニシンの独特の風味が特徴。
暖かい時期に漬け込むと酸味が強くなるため、北海道では11月頃の少し寒くなってきた時期に漬け込む。ニシン、キャベツ(札幌大球)、大根、ニンジンなど具だくさんのものが一般的。

ニシン漬けに札幌大球を使う理由

→麹を入れることで、一般的なキャベツでは葉がしなしなになり、食感が悪くなってしまう。それにひきかえ、葉の厚い札幌大球は麹を入れたとしても葉に適度な歯ごたえが残るため、ニシン漬けのキャベツとして適している。
また、札幌大球自体の甘味が強いのも理由のひとつ。

明雄さんメモ

ニシンが入った漬物は初めて食ったけど美味かったぞ!
麹とかザラメが入ってるからなおさら美味いんだな。

札幌大球と豚バラ肉のミルフィーユ鍋

  1. 札幌大球を適度な大きさに切り、葉2枚に対して豚バラ肉を交互に重ねていく。
  2. ある程度重ねたら、土鍋に入るサイズに切る。
  3. 土鍋いっぱいになるまで敷き詰めたら、和風だしで味付けして煮込み完成。
    ※お好みでポン酢につけて頂く。

巨大ロールキャベツ

  1. キャベツの芯に切れ目を入れ、葉が切れないように慎重にはがす。
  2. 固い芯の部分を取り、さっと湯がく。
    (※湯に入れすぎると柔らかくなりすぎるので注意。)
  3. 挽肉1キロ、タマネギ1.3キロ、卵2個、パン粉をよく捏ねながら混ぜ、塩、胡椒で味付けする。
  4. 葉にくるみ、はがれないよう爪楊枝で止める
  5. 鍋に移し、水とコンソメを入れ20~30分ほど煮込み完成。

明雄さんメモ

デッカいのにあんなに美味いキャベツには驚いたな~
おれも育ててみっかな~