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アジア杯優勝、もうドーハは「悲劇の地」ではなくなった

編集委員 武智幸徳

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日本がサッカーのアジア王者の座に返り咲いた。29日、カタールで行われたアジア・カップの決勝で、日本は初優勝を狙ったオーストラリアを1-0で下し、2004年中国大会以来の頂点に立った。4度目の優勝は大会最多。昨年のワールドカップ(W杯)南アフリカ大会での活躍と合わせ、日本を「アジアの盟主」と呼んでも差し支えないだろう。

92年の初Vから日本サッカーは劇的に変化

日本のアジア・カップ初優勝は1992年広島大会である。初めて招いた外国人指揮官であるハンス・オフト監督に率いられ、ブラジルから帰化したラモス瑠偉を司令塔にカズ(三浦知良)、松永成立、柱谷哲二、井原正巳、北沢豪、中山雅史、福田正博、堀池巧、都並敏史、高木琢也、森保一といった個性的な面々が堂々とタイトルを勝ち取った。

翌年にはプロサッカーのJリーグ発足が控えていた。選手たちはアマチュアからプロへの転換期にあって「勝ってこそ」「見せてこそ」という特別な使命感に燃えていた。それがある種の気張りをプレーに与え、タイトルへの原動力にもなった。

その初優勝から日本のサッカーは劇的に変化した。Jリーグの成功、W杯の招致、W杯フランス大会初出場……。

日本躍進のヒストリー

92年から今大会までアジア・カップは6回開かれたが、日本はそのうち4回(92年、2000年、04年、11年)を制したことになる。ここ20年近くのアジアカップの歴史は、そのまま日本躍進のヒストリーといっていいだろう。

大会記録を更新する4度目の優勝が、カタールの首都ドーハで記されたことも感慨深い。日本サッカー協会の小倉純二会長には親日家のカタール人の友人がいるのだが、初対面の日本人に「ドーハから来た」と自己紹介すると「ああ、あのドーハの悲劇の」という反応が決まって返ってくるのだそうだ。

「ドーハ、イコール、トラジディ(悲劇)。この連想、いつまで続くんですかね」。自分の生まれ故郷に「悲劇」という修飾語が付いてまわることの悲しみ。くだんの友人は閉口して嘆くことしきりだという。

93年はあと一歩でW杯切符逃したが…

93年秋、アジア・カップ優勝とJリーグ発足の余勢を駆って勇躍ドーハに乗り込んだ日本代表は、そこで手につかみかけたW杯米国大会行きのチケットを落としてしまう。W杯アジア予選最終戦。イラク相手にあと20秒ほど守りきっていれば、1点差で勝てた試合を土壇場で追いつかれてしまった。

以来、まるで臥薪嘗胆(がしんしょうたん)の故事のように「ドーハの悲劇」は永遠に忘れてはならない苦い記憶として刻まれ、語られ続けてきた。

今回の優勝はその記憶を上書きするのかもしれない。ならば、ドーハも「悲劇」ではなく、日本サッカーの豊かな実りを確認できた場所として語られるようになればいい。

厳しい試合の連続

前回の優勝と同じく、今大会も道のりは険しかった。「やっぱり、ここは悲劇の地かよ」と思わされること再々だった。初戦のヨルダン戦から決勝のオーストラリア戦までの6試合、10人で戦う羽目に陥ったのが2試合もあった。先制されたのが3試合。準決勝の韓国戦と決勝のオーストラリア戦は延長までいった。

1次リーグの第3戦、5-0で粉砕したサウジアラビア戦を除けば、どう勝敗が転んでも不思議ではないゲームの連続だった。

特に韓国、オーストラリア戦はまさに実力伯仲の戦い。今回は日本が勝ったものの、韓国は池東源(19)、李青龍(22)、奇誠庸(22)、具滋哲(21)ら若い攻撃陣が素晴らしく、伸びしろの大きさを感じさせた。

オーストラリアは逆にベテランが多く、これから新旧交代期に入るのだろうが、体格にモノをいわせたクロス攻撃は、長身のディフェンダーが少ない日本にとって今後も脅威になり続けるだろう。

自分たちのスタイル貫く

そうした難敵との接戦を日本が制したのは、90分をフルにできるわけではないが、自分たちなりのスタイルを通せたことが大きかった。

DFラインからの安定した球出し、ボランチの長谷部誠(ウォルフスブルク)と遠藤保仁(G大阪)はボールを落ち着かせつつ虎視眈々(こしたんたん)とスルーパスを狙う。2列目の本田圭佑(CSKAモスクワ)、岡崎慎司(清水)、香川真司(ドルトムント)が1トップの前田遼一(磐田)と連係しながらスペースを作り、パスを引き出す。

強さ、高さ、速さを前面に押し出すオーストラリアの攻めが「分かっていてもやられる」たぐいのものだとすれば、日本のそれは柔らかく変化に富んだボールと人の動きで「知らない間にやられる」たぐいのもの。

攻撃に迷彩を施せる点で(時にそれは手が込みすぎることもあるのだが)、日本はアジア屈指といっていいだろう。

ザッケローニ監督の手腕も鮮やか

就任から半年もしない間にアジアのビッグタイトルをもたらしたアルベルト・ザッケローニ監督の采配も特筆ものだった。先発メンバーはほぼ固定していたが、交代選手が一つの大会でこれほど活躍したのも珍しいのではないか。

PKとなる反則を呼び込んだケースがあれば(シリア戦の岡崎)、決勝点を挙げたり(カタール戦の伊野波雅彦=鹿島)、本田圭のPK失敗を尻ぬぐいしたり(韓国戦の細貝萌=アウクスブルク)……。

決勝の大一番で鮮やかな左足ボレーを突き刺した李忠成(広島)は途中出場から11分後の大仕事だった。

戦況に応じて切る、ザッケローニ監督の"手札"の鮮やかさは、百戦錬磨の名にふさわしかった。相手のシステム変更に対して細貝を入れて形勢を盛り返した韓国戦。決勝ではオーストラリアの攻めがハイクロス1本やりと見極めるや、高さのある岩政大樹(鹿島)をCBに入れて今野泰幸(FC東京)を左サイドバックに回し、左サイドバックの長友佑都(チェゼーナ)を左サイドハーフに配置換えした。

一粒で3度おいしい

岩政で最終ラインの高さを、長友で左サイドの突破力を増強した。「一粒で2度おいしい」というお菓子のコピーがあったけれど、岩政という一粒で守りと攻めの両方を強化して見せた。

長友は相手がクロスを上げてくる際にはその"発射台"をつぶしにも走り回ったから、正確には「一粒で3度おいしい」ではなかったか。いやはや「ザック、恐るべし」である。

それはザッケローニ監督が選手の特徴を知り尽くしているからできること。決勝でいえば、長友の持てる能力を左サイドですべて出しきらせた。大会のMVPは本田圭が選ばれたが、決勝の「マン・オブ・ザ・マッチ」は間違いなく長友だった。あれだけこき使われたら、逆に選手みょうりに尽きるというものである。

外国人監督と共同作業を成す資質

アジア・カップの日本の優勝を振り返ると92年オフト監督、2000年フィリップ・トルシエ監督、04年ジーコ監督、そして今回のザッケローニ監督とすべて外国人監督の手でもたらされた。

07年のアジアカップで4位に終わったイビチャ・オシム監督のチームも、クオリティーという意味では過去の優勝チームに劣らないものを備えていた。そうした歴史を振り返るとき、日本の選手には外国人監督と素晴らしい共同作業を成す資質が本来的に備わっているように思えてくる。

ただ、それぞれの時代に良い時もあれば、悪い時もあった。ザッケローニ監督と彼が率いるチームにもこれからいろいろなことが起こるだろう。それもまた、歴史が物語っていることである。

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